3-2-4.爆発
結界が失くなった事により、抑えられていた魔力の渦の力が解放された。辺りは渦の猛威によって削り取られ、次第に瓦礫へと変わっていく。
結界の維持に努めていた龍人や遼、バルクは近くの街灯に捕まり、耐えるのに精一杯だった。結界を張っていた為に比較的渦に近い距離にいた事もあり、猛威を振るう渦から離れることが出来ない。
周りの魔法使い達も渦に呑まれないように近くの物に掴まりながら、唖然として見る事しか出来なかった。
やがて、暴走する魔力は別の魔力蓄積機へと及ぶ。魔力蓄積機の外装が次第に剥がれていき、いつ次の魔力蓄積機が爆発してもおかしくない状況にまで事態は発展したていた。
誰もが街魔通りの崩壊という最悪の事態を想像した時、巨大な結界が突如として現れる。結界は魔力の渦を覆い、完全にその力を隔離する。
そして、その結界へと歩み寄る姿。デブで金髪の…
「ラルフ先生!」
その姿を見た遼が叫ぶ。
「先生!リリス先生が呑み込まれちゃったんです!」
「あぁ。大丈夫だ。任せとけ。」
緊急事態であるのにも関わらず、ラルフはいつも通りの笑みを見せると、片手をヒラヒラと振りながら結界内へと進んでいった。
その姿が結界内の渦の中に見えなくなってから数秒後、結界内に眩い閃光が走る。光は次第に強くなり、遂にはその場に居た誰しもが目を覆う程の輝きを放つ。
……。閃光が消えた後、龍人達が見たのはリリスを抱えて歩いてくるラルフの姿だった。
「吸い込まれた奴らは全員助けたぞ。もうすぐ学院の奴らが到着するはずだから、怪我してる奴は少し待っててな。」
ラルフは辺りの人々へ声を掛けると、龍人達の下へ歩いてきた。
「悪いな、遅くなっちまって。転移でですぐに来たかったんだが、魔力の密度が濃くてで空間が歪みかけてたから出来なかったんだ。それにしてもお前ら、よく頑張ったなー!」
ニヤリと笑いながらラルフは3人の頭をクシャクシャと撫でる。まるで頑張った生徒を褒める先生のよう。…いや、ラルフは間違いなく教師である。




