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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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11-2-5.筋肉襲来



第2のデバフ効果は試合会場の側面に展開された魔法陣へ会場内のものを引き付ける力だった。つまり、横方向への引力。


(マジかよ…!上からは重力倍加で、横からは引力かい。会場の内側に向かうのが難しくて外側に向かうのが簡単って事か…。ん…?ムキムキ達が動き出したな。)


外側への引力が発動されるとすぐにムキムキ男達に動きがあった。全員が目の前の敵との戦いを上手く躱して会場の中央へ集まり始めたのだ。


「龍人くん…。これはマズいですの。私達は完全に出遅れましたわ。」


レイラが困った様に眉根を寄せる。龍人も同様の意見なのか、同じ様な表情をしていた。


「…確かに。攻撃速度1.5倍位かな?」


「ですわね。この会場の中央から外側へ攻撃するポジションを取られている限り、近接戦での勝利の見込みは少ないですわ。可能性があるとしたら中距離から遠距離での魔法攻撃ですが、ムキムキさん達は全員で魔法壁を発動する事で相乗効果による魔法壁の強度UPを行ってくるはずなのですわ。…それを突き抜ける威力の魔法を放たない限り、私達は劣勢のままですわ…。」


龍人は試合会場内を見回す。残っている魔聖像は2つ。バーフェンス像とレイン像だ。

龍人は1つの奇策を提案してみる。


「あのさ…もう既に劣勢なんだからもう1つ魔聖像が壊れてもあんま変わんないよな?」


龍人のいきなりの発言にルーチェはキョトンと首を傾げる。


「でも、もう1つのデバフ効果も発動しますわよ?」


「そうだけど、このままじゃデバフ効果が殆どムキムキ男達の味方みたいになってるじゃん?それなら、もう1つ壊したら互いにキツイ状況になんないかなって。上手く行けば、ほぼイーブン位の状況になるかもよ?」


「むむむーですわ。かなりリスキーですの。」


今度は龍人が首を傾げる。


「そうかなぁ?このままだと2つの像に俺たちの戦力が分断されちまうしさ。それなら1つの像を巡ってやるかやられるかの方が分かりやすくないか?」


「そうですが…像を壊すことによるメリットがさっぱり思い付きませんの。ほぼ賭けになりますわよね?」


「そうだな。だけど、それ位やってみる価値はあると思うんだ。って…そろそろ話す時間無いか。」


ムキムキ男達はリングの中央から2つの軍団に分かれ、それぞれ魔聖像に向けて動き出していた。


「ルーチェ、どーする?」


「私は…ここに残って像を守りますわ。もし1体残しで戦って、ムキムキさん達が自爆系の魔法を連続で使って来たら私達はそれを防ぎ切れるか分かりませんの。ここは安全策でいくしか無いのですわ。」


「そっかー。そうしたら俺は敵さんを全員倒すのを目標に動くかな。じゃ、また後でな!」


「無茶しないで下さいねー。」


ルーチェの心配そうな声を背中で聞いた龍人は転移魔法陣を発動させた。





「ぬおおおおぉ!!!俺様はガチムチホモでは無い!寄るな!寄るな愚民共!」


そう叫びながら会場の中心からジリジリと寄ってくるムキムキ男達に爆弾を連続発射するのはクラウン=ボムだ。爆弾はムキムキ達に直撃しているが、魔法壁が爆発を阻んでいる為にほぼダメージを与える事が出来ていない。


「クラウン!少しは頭使えよ。」


クラウンの横に来たバルクが迷惑そうな顔で言う。頭を使って戦ったりする事が苦手な非頭脳系のバルクに頭を使えと言われた事の重大さに気付く事は無く、クラウンはバルクを睨み付けた。


「うるさぁい!俺様はあいつらは許さんのだぁ!あの中に俺様のケツを揉んだガチホモがいる!もう2度と…もう2度と揉ませるものか!」


クラウンの口から発せられた衝撃の事実にバルクは反応に困ってしまう。周りにいる参加者の男達は一瞬動きを止め、そして恐怖の色が混じった目をムキムキ集団に向けた。


「クラウン…今の話マジか?」


「当たり前だろ!?俺様がそんな下らぬ嘘を付くわけないだろうが!」


「そうか…。皆!俺は男にセクハラは受けたくねぇ!全力で止めようぜ!」


おぉおおおお!


と、クラウンとバルクの周りにいる人々が雄叫びを上げる。妙な一体感が生まれた参加者チームは一斉に攻撃魔法を放ち始めた。


(なんなんですのこの集団。やっぱり向こうのバーフェンス像の方に行けばよかったかしら。でも…今は行けないのですわ。恥ずかし過ぎますわ。)


マーガレットは周りで必死に攻撃魔法を放つ男達を面倒臭そうに眺め、バーフェンス像の方を見てほんのりと頬を赤らめた。

何故かは問うまい。

そのマーガレットの後ろではレイラが魔力を溜めていた。ムキムキ集団が一気に攻め込んで来た場合、対人の攻撃をして来る者と対レイン像の攻撃をして来る者がいると予想しての事だ。いざという時に物理障壁でレイン像を護る為の準備だ。


(龍人君が頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ!)


2人の女性に想われている幸せな龍人(本人が気づいているかは別として)は、転移先の上空でリング上を眺めていた。


「よし。一気に決めてやるか。」


龍人は両手を広げ、掌の先に魔法陣を展開、分解を繰り返していき、1つの魔法陣を構築していく。いつも使う魔法陣よりも高度な魔法陣な為、すぐに完成させる事が出来ない。


(完成まで5分はかかるかな…。それまで持ち堪えてくれよ。あと、俺が魔法陣を構築してる事に気付かれなきゃいいんだけど。)


龍人の眼下ではムキムキ集団と参加者集団が激突を始めた。

勝者が決まるであろう、最後の乱闘が始まった。




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