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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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11-1-18.プレ対抗試合



試合会場の観客席にはこの試合を見ようと足を運んだ人が複数人居た。


「始まりましたわね。高嶺龍人、その実力しっかりと見させてもらいますの。」


そう言ってギラギラと龍人の動きに注目するのはマーガレット=レルハだ。隣に座るミータとアクリスもマーガレットが注目している龍人に興味があるらしく、真剣な目で龍人を観察している。

マリアに関してはメモをしながら観察する注目っぷりだ。



その少し離れた所では魔法少女みたいな格好をした女の子が横に座る男の金髪を引っ張っていた。


「いててててっ!いてぇってば!」


そう涙目になりながら講義するのはルフトだ。


「なにが痛いよ!ラルフちゃんが居るって言ったから来たのにっ。全然どこにもいないんだよ!?」


ギギギギギとルフトの毛根が悲鳴を上げる。


「ミラージュ!禿げるっ!」


魔法少女…ミラージュは髪を引っ張る手を捻ってルフトの顔を自分の方に向けた。


「で、私をココに連れてきた本当の理由を言わないと…ニシシ、ツルッツルにしちゃうよ?」


「わ、分かった!分かったから離してくれ!」


すると、ミラージュは思いの外あっさりとルフトの髪を離す。毛根の痛みから解放されたルフトは髪が抜けそうになっていた辺りをさする。


「マジで禿げそうだったかんな!一応言っておくけど、ラルフは絶対にこの会場のどっかにいるよっ?今日はヘヴィーも来てるはずだから、護衛っぽくしてるんじゃ無いかな。」


「ホント!?じゃあ後で会いに行かなきゃだねっ。」


「おう!でだ、ここに来たのは龍人が出るって聞いたからだぜっ。」


「龍人ちゃんって…1年生上位クラスの子だよね?」


「そうだよ。これが面白い戦い方をするんだよね。ま、見ててみっ。」


「ふーん。ルフトちゃんが入れ込むなんて珍しいね。」


ミラージュは興味津々な目を龍人に向ける。




さて、ルフトとミラージュの反対側の席にはダーク魔法学院の4人が座っていた。

博樹と文隆は龍人がリング上に現れると期待の眼差しを向ける。その2人を見てクロウリーがつまらなそうな声を上げた。


「そんなに気になんの?俺、早く帰ってゲームしたいんだけど。」


デイジーもつまらなそうに空を見上げている。


「そーですそーですぅ。他の学院の戦いを見てもつまらないだけですよ?」


「…2人共甘いねぇ。高嶺は強いよぉ?多分、君達よりもねぇ。」


文隆の言葉にクロウリーが眉をピクリと上げて反応した。


「…え?街立の奴で俺より強い奴いんの?」


「多分ねぇ。少なくとも、度胸は高嶺の方が上だねぇ。」


「…どーだか!そんなに言うなら見てやるよ。」


「えぇー。じゃあワタシも見ますー。」


クロウリーがムキになって見ることを決めたのを見て、デイジーも見ることを決めたようだ。

文隆はそれを見るとバレないようにニヤリと笑いながら視線をリングに戻し、博樹に小声で話し掛けた。


「森、正直どう思うかなぁ?」


「ん?僕達より強いかって事?」


「そうそう。」


「そうだねぇ…。ちゃんと戦ってる所を見たことがある訳じゃないからハッキリは言えないけど、僕達と同じ位の力はあると思うな。」


森がこの様に判断したのには訳がある。中央区で龍人が戦ってた相手は、文隆と博樹の魔法を全く寄せ付けなかったのだ。その相手と戦い…殺されそうにはなっていたが…持ち堪えていたのを考えると、少なくとも一定以上の実力があると判断せざるを得ないのだ。

文隆は博樹の意見を聞くと口元に笑みを浮かべる。


「やっぱりそうだよねぇ。いやぁ、楽しみだねぇ。どんな戦いを見せてくれるんだろうねぇ。」




参加者控室のある建物の最上階。そこにミラージュが大好きなラルフはいた。彼は窓際に設けられた席の1番端に座り、リングを眺めている。そのラルフの隣に座っているのがヘヴィーだ。


「ラルフよ。龍人は勝つと思うかの?」


「んー、微妙なトコですね。相手チームが毎年恒例の赤タイツなんで。あの女、マジでイイ身体してますよね。」


「おほんっ。」


ヘヴィーのわざとらしい咳払いでラルフは慌てて話題を元に戻す。


「えっと…あの赤タイツ達は確か近距離、中距離、遠距離、遠距離の構成ですよね。それに対して龍人がオールラウンダー、タムが中距離、サーシャが中遠距離、レイラがサポートです。赤タイツの近距離がどう動くか次第ですけど、遠距離の撃ち合いがメインになるでしょうね。近距離で試合が動くとしたら龍人と赤タイツの女の一騎打ちでどっちかが負けたときだと思いますよ。まー、後は龍人がどれだけ役割を理解して動くかですね。単独で戦う必要がある場面と、フォローに回る必要がある場面と…この場面毎に自分の役割を切り替えられるかが勝負の鍵を握ってるかなと。」


「ほほぅ。中々ちゃんと調べているのぅ。しかし、あれである。龍人ならば赤タイツ達を1人で倒せる位の実力はあるんでないかの?」


「そりゃあ本気を出せば余裕でいけると思いますけど…今のあいつが本気で戦ったら、それを見た奴等が騒ぎ出すのは間違いないですよね。」


「…それはそうじゃの。だがラルフよ、龍人の属性をいつ迄隠しておくつもりなのじゃ?」


「街立魔法学院1年生対抗試合辺りですかね。多分あの試合で優勝を狙うなら、龍人の持つ構築型魔法陣も使っていかないと厳しいと思います。ま、後は本人が大衆の前でそれを使う事による影響を理解して、それでも使う事を選択するかどうか。ってトコですかね。」


「…ふむ。そこまで考えているのであれば、お主に任せようかの。ラルフよ、自分の生徒達は何が何でも守るんじゃぞ?」


「任せて下さいよ。教師って仕事に就いた時点でその覚悟は出来てますよ。」


ラルフはニヤリと笑う。


「さて、俺の自慢の生徒達がどれだけ出来るのか見ようじゃありませんか。」


ラルフの言葉を待っていたかのように係員による試合開始のアナウンスがリングに響き渡る。


龍人は自分が注目されている事実を知らない。そして、彼に注目する者達の前でどの様に戦うか。それによって彼の進む道が変わってくるという事も知らないまま、龍人は試合に臨む事となるのだった。



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