表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
592/994

11-1-11.プレ対抗試合



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


龍人と火乃花がムキムキの男を追跡して1時間。2人は困惑の表情を浮かべながら歩いていた。


「何かおかしくないかしら?」


火乃花は周りの様子を確認しながら龍人に話し掛ける。


「そうだな…。幾ら何でも意味が分かんないな。」


2人が困惑するのもしょうがない。ムキムキの男は会場の周りをグルグルと歩き続けていたのだ。その間、複数人のムキムキ男が寄っては離れてを繰り返している。しかし、言ってしまえば不審な点はその2点のみ。

このままムキムキの男を追跡していて何か成果が得られるのかは全くもって不透明だ。


「火乃花…少しの間、ムキムキ男の追跡任せていいか?」


「いいわよ?元々1人でするつもりだったし問題ないわ。」


「サンキュー。ちょっと会場の更に外側の様子を見てくるわ。」


「…確かにそこも見ておく必要があるわね。お願いね。」


「おう。」


龍人は軽く右手を上げると火乃花から離れて歩き出した。火乃花の姿が人混みに紛れたところで、ある人物目掛けて進む。


「よっ。」


龍人が声を掛けたのはスイだった。ムキムキ男の追跡を開始して少し経ってから、スイがつけて来ているのに龍人は気付いていたのだ。火乃花の傍を離れる事を決めたのもスイが居たからというのもある。

声を掛けられたスイは驚いた表情で龍人を見て固まった。


「何止まってんだよ。お前も俺達が追跡してる奴の事が気になってんだろ?」


スイは龍人の言葉で、火乃花と龍人の2人が一緒に行動していた理由を悟る。そして、ここで2人を付けていた本当の理由を知られる訳には行かない。…スイのプライド的な問題で。至って冷静に、表情を崩さないように努めて返事を返す。


「あぁ、何か不審な動きをしているからな。お主達だけでは不安だ。」


「おーおー言ってくれるじゃん。ま、それ位の方が安心だな。俺はムキムキ男に近づいて離れていったムキムキ男達の動向が気になるから、もう少し外側を見てくる。何か動きがあった時は火乃花のフォロー頼むぞ。」


「ふん。任せておけ。お主より上手くやって見せよう。我を甘く見るな。」


「はいよ~。じゃ、よろしく!」


龍人はスイの肩をポンポンと叩くと人混みを抜けて屋台が立ち並ぶ外側へと移動する。肩を叩いた時にスイが嫌そうな顔をしたが、そんなのイチイチ気にしてられない。


人の密度が少し減った所まで移動すると、龍人は辺りを見回した。


(さて…と、ちょいちょい寄って来てたムキムキ男達は何処に行ったのかねぇ。)


龍人は魔法陣を1つ展開すると、近くの建物の壁に貼り付ける。他人から見えないように更に上から魔法陣を隠すための魔法を発動する。


「うし。こんなんでいいかな。」


もう1度周りを見渡すが、特にムキムキっぽい人影を見ることは出来ない。龍人は風魔法を使用して屋根の上に飛び上がった。


(おかしいな・・・全然それらしい姿が見えない。どっかの建物ん中にでも隠れてんのか?それか…完全に俺達が無駄に疑っているかのどっちかだよな。ん~…。)


何かしらが見つかると踏んでの行動だった為、次に何をするか迷ってしまう。しかし、何もせずに会場に戻るのも何かあった時に後味が悪い。


(近づいた男を追跡した方が利口だったな…。完全に離れるタイミングをミスったわ。とにかく…もう少し中央区を歩き回って探してみるか…。)


龍人は当てが全くない状態でムキムキ男を探して歩き始めた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「そろそろ控室に移動なのですわ。」


全30試合の内15試合が終わった所でルーチェが立ち上がる。彼女達のチーム学生Bは第18試合。これから第16試合が始まるので、もう控室に入れる時間帯なのだ。

ルーチェの言葉に合わせて遼、バルク、クラウンが立ち上がる。


「皆頑張ってね!」


レイラが両腕をグッとして応援する。きっとこの動作で何人かの男が鼻血を噴き出すかもしれない。


「頑張ってっす!」


「…応援してる。」


タムとサーシャのテンションは、他人からすると面白い位の差がある。


「任せてくださいな。勝ってきますわね。」


「俺様が相手をボロボロに叩きのめしてやる!目ぇーかっぽじって見ておくが良い!」


「うし!やってやるぜ!」


「ありがとね。負けない様に頑張るよ。」


4人は其々の反応を示すと参加者控室に向かって移動していった。

残されたレイラは龍人の事を考える。


(本当に帰ってこないなぁ…。でも、ここで動いたらもっと会えなくなっちゃうかもだし…我慢…だよね。)


レイラの口から自然と溜息が出る。


それを見たタムとサーシャは何とも言えない顔をして視線をリング上に戻したのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ