3-1-2.恋
属性診断の翌日、バルクは鏡の前で悩んでいた。学院の授業が無い今日、これまでのバルクの人生で最大のイベントが始まろうとしていた。故にバルクは悩んでいた…服装で。いつもはレザージャケットにシルバーアクセという男前な服装なのだが、今日もそれで良いのか。少しお洒落な感じにするか。そもそもお洒落な感じってどうすればいいのか。
鏡の前に立ってから2時間程経っているが、まだまだ決まる様子はない。
(今日のデートでリリス先生のハートを掴むんだ!)
昨日、属性診断の部屋入ったバルクはドアの側に立つ女性…リリスを見て身体中に電撃が走ったかのような衝撃を受けた。つまり一目惚れである。
金髪でクルクルとした髪の毛に、優しい顔立ち。ふわっと微笑んだ時の優しすぎる雰囲気、笑顔。全てにおいてバルクの好みどストライクだった。
運命。もはやそれ以外の言葉が見つからない程に、バルクの頭の中はリリスで一杯になっていた。惚れた男の行動力は凄い。バルクは教師校舎で保健室を探し、リリスにデートを申し込みに行ったのだ。
(しかし、デートを申し込むのがあんなに緊張するとは。結局手紙を渡して走り去っちまった。来てくれなかったら、俺はどうしたらいいんだ。)
何も言えずに走り去る行動は思春期の学生の様で初々しい事この上ない。
鏡の前で悩み抜いた結果、いつも通りの服装に落ち着いく。変に着飾るよりもいつも通りの服装の方が自分らしくいけると考えたのだ。
バルクの初恋を掛けた大勝負がここに始まる。




