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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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11-1-6.プレ対抗試合



龍人達が観客席でやんややんやと騒いでいる頃…、ダーク魔法学院の博樹、文隆、デイジー、クロウリーの4人はなんとも言えない緊張感に包まれていた。

彼等の試合は3試合目。今行われている試合が2試合目なので、次の試合ということになる。因みに…彼等の雰囲気が張り詰めているのは、対戦チームが異様な風貌をしている事が原因だ。


「ねぇ、浅野…絶対あいつら変態だよね。」


浅野文隆は森博樹の言葉にカクカクと頷く。


「そうだねぇ。これはもう貞操の危機しか感じないんだねぇ。」


この話にデイジーが加わってきた。


「ちょっと文隆さん。それ、他人事だと思ってないですか?女のワタシの方がヤバいんですから。」


「んー?そうだけどさぁ、あの格好だとガチムチって線もあるじゃぁん?」


「それでも女の方のワタシの方がやばいですよ?近づきたくないですもん。」


「えー?そうかなぁ?」


女のデイジー=フィリップスの心配を全くしない文隆にデイジーは心の中で毒づく。


(マジでクソじゃん?普通同じチームの女を心配すんだろ。ほんとありえねぇわこいつ。)


だが、そんな風に思っていることを表に全く出さないのがデイジーだ。


「えー、じゃないですよぉ。何かあったらお願いしますねっ。」


「んー、考えとくねぇ。」


(はぁ?女の子に可愛くお願いされてんだから、任せろくらい言えし!)


「はーい。お願いしますね。」


デイジーが心の中で毒づいてるのを勘付いているのかいないのか…文隆はデイジーに取り合わずに博樹と何かを話し始めた。

クロウリーはその後ろで苦い顔をしながらその様子を眺めていた。


(おれ、もっと普通の人とチーム組みたかったなぁ。森は真面目だけど浅野もフィリップスもなに考えてるか良く分かんないよ。やだなぁ。)


クロウリーはあまり活発な性格をしていない。何かあればすぐに拗ねる。他人の批判はしっかりと言う。そしてプライドがさりげなく高い。といった、何とも言えない3拍子が揃っている男だ。いつもならデイジーに「何女の子ぶってんだよぉ!?」なんて感じに突っ込んでいるのだが、デイジーが実は腹黒と気づいてからは出来るだけ突っ込まない様に気を付けていた。


試合直前になっても未だにバラバラのダーク魔法学院の4人は、だがその事実に気付く事は無かった(博樹だけは気付いているが対処し切れていない)。


外のリングから歓声が上がる。試合に決着がついたのだろう。森は拳を強く握り締めた。


(よし…!勝てるかどうか正直分からないけど、全力で戦って現状に向き合うしか無いよねっ。)


係員が控室の参加者達に声をかける。


「はい。それでは次のグループの方お願いします。」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


リングでは次の試合のアナウンスが入っていた。


「えー、みなさんお待たせ致しました。次のチームは…海パンヒーローとダーク学生Aです!はいっ、拍手~!」


観客席からは疎ら一歩手前位の拍手が起こり、選手達がリング上に現れる。

まず姿を見せたのは…。


「…また強烈なのが出てきたな。」


龍人が思わず呟いてしまうのも無理が無い。


鍛えられた肢体、局部を隠す必要サイズギリギリの海パン(因みに其々青、赤、黄、黒)、海パンと呼応した色の強盗が被りそうなマスクを着用した男達が現れたのだ。


(だけど…ダーク魔法学院の奴らの戦いを見れるのは楽しみだな。違う魔法学院の1年生、お手並み拝見だぜ。)


中央区でユウコ=シャッテンに命を奪われかけた時に助けてくれた森博樹と浅野文隆…龍人は彼らの実力をほとんど知らない。博樹が植物を操る事と、文隆が闇を操る事を知っている程度だ。僅かな時間しか一緒にいたことはないが、その時に強いと感じたのもまた事実。


龍人が見つめる先で試合開始のゴングが鳴った。




まず動いたのは海パンと男達だ。(ココからは赤、青、黄、黒の略称で表記する)。

青が鍛え抜かれた肢体にに水を纏い、一直線に駆け抜ける。

青を護衛する様に赤が火球を、黄が電気を放つ。


対する博樹と文隆はチラッと目線を合わせると海パンを撃退するべく動き出した。

まず博樹が指を鳴らすと地面から5本の蔓が飛び出し、鞭の様にしなりながら青を襲う。火球と電気に対しては浅野が闇の塊を放って相殺した。


青は蔓の間をすり抜ける様にして博樹へ迫る。蔓の動きはかなり複雑なしなり方をしていたのだが、それをすり抜けるのを考えると…中々な動体視力の持ち主だと評価出来るだろう。青は博樹に肉薄すると拳を振り翳した。纏っていた水が拳に集中しきょだい水の拳が形成され、博樹に向けて振り下ろされた。

例え液体の水と言えども魔法によって固定された状態でぶつかれば、質量に応じた其れ相応の衝撃を与えることが出来る。更に水の性質上、状況に合わせてその形を様々に変えることが出来る。

この至近距離での攻撃、水の拳を完全に防ぐか、魔法の範囲外に逃げるか、対等な魔法をぶつけて相殺するかの3択が一般的な対処方法と考えられる。しかし、森はどの行動も取らなかった。鋭い目つきで水の拳を睨みつけると右手を翳す。そこから現れた巨大な蔓は真っ直ぐに水の拳に突き刺さった。


青はマスクの下でニヤリと笑う。この距離で攻撃を避けるのは不可能…まず1人撃破と確信したのだ。

しかし、青を驚愕させる現象が起きる。水に突き刺さった蔓がギュルンとうねると青の水拳が萎み、全て無くなってしまったのだ。


「な…!?」


「よし!僕の属性【蔓】を甘く見ないで欲しいね!」


水を呑み込んだ蔓が青の脇腹に突き刺さり、吹き飛ばした。


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