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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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11-1-2.プレ対抗試合



プレ対抗試合が行われるのは中央区の中心に設置された専用リングである。そのすぐ横に受付ブースは設置されて。

その受付ブースに龍人と遼が到着すると、既に上位クラスのメンバー達が待っていた。


「わりぃ、待たせたな。」


「龍人さん遅いっすよ!15分も遅刻っす。ま、間に合ったからいいっすけど。んじゃ、取り敢えず人が揃ったから、俺が受付して来ますね。」


タムが急ぎ足で受付に向かう。


「遼くん。こんなギリギリに到着するのは良くないのですわ。私も受付を済ませて来ますので、少々お待ちくださいな。」


ルーチェは軽く遼を責める視線を向けると、タムの後を追って受付に走って行った。

龍人と遼は顔を見合わせると、「はは…。」と苦笑いを浮かべた。


待ち立魔法学院から今日のプレ対抗試合に参加するのは全部で2チームだ。


龍人、レイラ、タム、サーシャのチーム。

遼、ルーチェ、バルク、クラウンのチーム。


火乃花は「私は絶対に出ない」と、頑なに拒否をしたので今日は来ていない。本試合前に戦っている所を見せて分析され、対抗策を練られるのが嫌らしい。


少しすると、タムとルーチェが受付を済ませて戻って来た。


「お待たせっす。このプレ対抗試合ってトーナメント形式だと思ってたんすけど、1回しか戦えないみたいっすね。」


タムが意外そうに言うと、ルーチェが首を傾げる。


「あら?タムくん知らないのですか?プレ対抗試合に参加するチーム同士の試合は前座とほとんど変わらないのですわ。むしろ本番は…」


「おい!龍人!俺様は絶対にお前なんかに負けないからな!俺様の強さを骨の髄まで染み渡らせてやる!」


ルーチェの話の途中でクラウンがいつもの調子で龍人に突っかかり始めた。ルーチェは嫌な顔をせずに「あらあら。」と我儘な子供を見るようにクラウンを眺める。そして、クラウンの隣に立っていたサーシャが本当に嫌そうな顔をした。


「クラウン君…もう少し静かにして。」


サーシャの小さい声にクラウンは大声で反論する。


「なーにおぅ!?俺様が何て言ったか聞いてたのか!?俺様は龍人に負けないぞって言ったんだ!そんな宣告をちっちゃな声で言えるか!男には男の譲れない所があるのだ!」


サーシャはクラウンの大声にビクッと怯えてしまう。


「…ごめん。どうせ私なんかが言うことを聞いてくれる訳無いよね。」


クラウンの言葉で必要以上に傷ついたサーシャはブツブツと呟き始めてしまう。


「ちょっとクラウン君、女の子にはもう少し優しくしてあげてね。」


レイラは非難の目をクラウンに向けるとサーシャを慰めに向かう。


「む…今のは俺が…俺様が悪いのか?」


バツの悪そうな顔をしながら周りに意見を求めるが、クラウンに返事をする者はいなかった。「わーわー喚くのはいい加減に止めて欲しい」というのが大方の総意であることは間違い無いだろう。


場の雰囲気が重いような、白けたような感じになってしまう。ここで気を利かせたのはバルクだった。


「よし!1回しか戦えなくても、全く知らない相手と戦うのはいい経験だろ?全力で頑張ろうぜ!」


バルクはクラウンの背中をバンバン叩くと参加者控室に向かって歩き始めた。因みに補足するとバルクは気を利かせたのでは無く、結果的に気を利かせた結果に落ち着いたというのが正確な表現である。


「ま、バルクの言うことも最もだな。クラウンもサーシャもそんなに気にしてたら試合に影響出るからな。切り替えろよ?」


そう言うと龍人も控室に向かって歩き出した。他のメンバーも続いて歩き出す。


(ぐぬ。高嶺龍人なんかにアドバイスされるとは…この屈辱試合で果たしてくれる!俺様と試合でぶつかるまでに負けたら許さん!)


クラウンの怒りボルテージが上がり、やる気が充電されていく。クラウンは忘れている。このプレ対抗試合では1回しか戦うことが出来ないことを。まぁ、やる気になったのだから良しとしよう。


こうして街立魔法学院上位クラスのメンバーはプレ対抗試合の参加者控室に入っていった。


その直ぐ後に現れたのが、北区のダーク魔法学院から参加する4人組…浅野文隆、森博樹、デイジー=フィリップス、クロウリー=ラムフィズだ。

チーム内での温度差に悩んでいた森だが、その悩みは今も健在だ。

デイジーとクロウリーは面倒臭そうな顔をしており、それを見る博樹が溜息を付く。そんな森を慰める文隆という、なんともバラバラな雰囲気で彼らも参加者控室に入っていた。


さて、その少し後に現れたのは東区のシャイン魔法学院から参加する面々。マーガレット=レルハ、マリア=ヘルベルト、ミータ=ムール、アクリス=テンフィムスの4人。ダーク魔法学院の4人とは違い、彼らは色んな意味でやる気に溢れていた。まず、マーガレットは完全に勝つつもりで鼻息を荒くしながら周りを観察し、マリアとミータは意見が合わないらしくずっと喧嘩モード、アクリスはそんな2人の様子を見てオロオロしている。

ただ、マーガレットが完全にリーダーシップを発揮しているお陰か、チームとしての意識はある程度纏まって居た。もちろん目指すは「完全勝利」。これ意外の目的はない。


こうして、例年異様な盛り上がりを見せるプレ対抗試合を更に盛り上げる面々が出揃った。


さぁ、見届けよう。年に1度の狂イベントを。



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