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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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10-7-3.特訓



まず、属性魔法を使う事が出来ないという点。今まで属性【重】に頼った戦い方をしていた遼はキタルによって魔弾形成の技術を学んだ。しかし、遼の中では属性【重】を使った方が強いのではないかという感覚が常にあるのだ。

その感覚が常にある理由。魔弾形成によって様々なタイプの魔弾を放つことが出来る様になったが、その魔弾形成技術がまだまだ未熟なのだ。


街魔通りで戦った時も熊相手に実力不足を痛感した。レヴィアタンの刻印が光り、何かしらの属性魔法が発現したものの、それも結局自分の魔法として使えるわけではない。


遼に足りないもの。それは決定力だ。相手の体力を少しずつ削り、最終的に勝利を勝ち取ることは出来る。しかし、その少しずつが通用しない敵がいる。防御力が高い敵。回避力か高い敵。そういった敵が現れた時に倒すだけの実力を遼は有していない。


……と言うのが、現在の遼が自分自身に対して下している評価だ。



人は何をするにも気持ちが一番大事である。気持ちで負けていれば格下の相手に敗北を喫する事も十分にあり得る。



フードの男の銃弾が遼の頬を掠める。比較的優勢だった遼は、いつの間にか防戦に回る様になっていた。相手が使う魔弾は通常弾と貫通弾のみ。それに対して遼は通常弾を含めれば8種類の魔弾を使うことが出来る。攻撃手段の多様性から考えても遼が負ける事はほぼ考えられない。


気持ちで負けているという点。属性【重】を使えないというマイナス思考。多様な魔弾を積極的に使わないという消極性。これらが相まって遼は敗北への道を進み始めていた。


フードの男は遮蔽物を巧みに利用しながら通常弾、貫通弾を使って遼を追い込んでいく。その上で逃亡を続けていた。既に2人の戦闘地域は開始位置から大分遠い所まで移動をしていた。

遼は攻撃の隙を付いて飛旋弾を中心に放っていく。遼は気付いていないが、攻撃パターンが飛旋弾中心になっているという事はワンパターン化していると言うことだ。つまり、属性【重】を使っていた時と変わらないのだ。同じ攻撃を繰り返すことで相手はその攻撃を覚え、次第に効率的な対応をする様になっていた。


突然、フードの人物が姿を消してしまう。


(え、マジか。…どこに行ったんだろ。)


的確に遼を狙っていた攻撃も止み、それまでの攻防が嘘だったかの様に静かになった。


遼は辺りを見回しながら建物の上を飛び回る。すると、路地裏の隅に魔法陣が描かれていた。


(転移魔法陣?これで別の場所に逃げたのかな?)


遼は足が止まってしまう。


(…龍人とか火乃花とかを呼んだ方がいいのかな。でも、キタルも来るはずだよね。少し待って…いや、それだと逃げられちゃうかも知れないし…。)


葛藤。1人で行くことの恐怖が遼の思考を支配していく。

…遼は動かない足に鞭を打って魔法陣の上に乗せようと動かした。魔法陣が発動。遼は転移する。…とはならなかった。


「…あれ?」


魔法陣は遼の足が触れても発動しなかった。


(どういう事だろ ?魔法陣の発動に何かしらのキーが必要なのかな?でも、そんなキーが必要な魔法陣がこんな路地裏に描かれてるって事自体がおかしいよね…。)


遼は後ろから急に殺気を感じ、魔法陣の上から飛びのいた。遼の居た場所を貫通弾が通り過ぎ、魔法陣に突き刺さった。


(…ギリギリ!今の魔法陣は俺の足を止めるためのフェイクか!)


遼はすぐに貫通弾の飛んできた方向に銃を向けた。しかし、銃を撃つことは出来なかった。貫通弾の突き刺さった魔法陣が発動して電撃が魔法陣の周囲を覆ったのだ。


「ぐ…!!!」


電撃に全身を痺れさせて遼は地面に倒れこんでしまう。


(や…やられた。くそっ。なんでこんな簡単な事に気付かなかったんだろ。)


カツンと音がしてフードの人物が倒れている遼の少し先に姿を現す。フードに隠れて顔を見ることは出来ないが、フードの人物はは遼を真っすぐ見ていた。 少しすると、フードの人物が話し出す。


「お前…。弱いな。その程度の実力でこんな良い武器の所有者か。宝の持ち腐れもいいとこだ。」


フードの人物は遼の取り出すと見せびらかすようにクルクルとまわし始めた。


「か…返せ。」


「あ?ふざけた事を言うな。お前みたいな弱い奴が使うよりも、 もっと強い奴に売り渡して使ってもらった方がこの銃も喜ぶだろ。お前に使われてたら可哀想だよ。今使ってる無詠唱魔法専用の銃でも使って友達と戯れてりゃいいんだよ。…じゃぁな。」


フードの人物は遼に背を向けて歩き出した。


(俺じゃない人が使ったほうが武器が喜ぶだって…?……ふざけんな。ルシファーとレヴィアタンは俺の武器だ。くそっ。俺は…俺は諦めない!)



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