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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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10-5-9.チーム戦



爆発の熱発と衝撃がアクリスに直撃する。


「熱っ!」


慌てて魔法壁を張って熱波を防ぐ。


(ん?何か近づいて来てる?)


前方から何者かが近づいて来る気配にアクリスは警戒する。恐らくアクリスの弱点を突いた戦い方をしてきた対戦相手の生徒だろう。爆発で視界が遮られている間に倒そうという算段に違いない。アクリスは右手に属性【爆】の魔法を溜めて迎撃の態勢を整える。

そして、敵が姿を現した。…その敵を目視したアクリスは素っ頓狂な声を上げてしまった。


「マーガレット!?」


そう。同じチームのマーガレットが物凄い形相で突っ込んできたのだった。

焦るアクリス。


「ちょっ…!俺だよ!?」


「そんなの分かってますわ!貴方…いくら近距離以外が苦手だからってやられ過ぎですわ!少しは頭を使いなさい!」


アクリスは気づいてしまう。マーガレットが怒っている原因が自分自身にある事を。…逃げようと動き出すが時すでに遅し。気付けば足を払われ身体が宙に浮いていた。


「うわっ…!」


続け様に腹に踵落としが炸裂しアクリスは地面に叩きつけられた。お嬢様とは思えないマーガレットの体術に観客の生徒達はどよめく。


「ぐふっ…。」


肺の空気が強制的に吐き出され、ほんの数秒の呼吸困難に陥る。

しかし、仲間であるアクリスににここまで攻撃をしても、マーガレットはまだまだ容赦しない。


「なーにがぐふっ…よ!?貴方、真面目に戦う気あるのかしら?私達は遊びでこの試合をしているのではありませんことよ?貴方程の技量があればあの程度の魔法、避けながら近づけるはずですわ!」


マーガレットは地面に倒れたアクリスの襟元をムズッと掴むと強引に立ち上がらせた。

遅れて到着したミータは、その光景を見るとあからさまに嫌そうな顔をしてコソコソっと遠ざかろうとする。


「ミータ!貴方も貴方よ。楽したいからって少しゆっくり来たわよね?手加減は許しませんって言いませんでした?」


「うっ…!」


ミータの顔が引き攣る。ここで遠ざかる動きをすれば、更にマーガレットを怒らせるのは間違いが無い。ミータは取り敢えずその場に立ち竦んでみる事にした。


(もしかしたら戦わなくて済むかもだし…大人しく様子見を…。)


マーガレットは立ち竦んだミータを見て内心で舌打ちをする。


(ミータの奴…またサボろうとしていますわ!真面目に戦えば強いのに…なんでこう変な人ばかりが私のチームになっちゃったのかしら。)


頭を抱えたくなる問題は山積みだが、一先ずは目の前にいるアクリスをどうにかする事にする。マーガレットはアクリスの襟元から手を離した。


「やっと離してくれた…。」


「アクリス。」


マーガレットから発せられる低い声にアクリスはビクッと反応する。


「は、はい…?」


「私はこれから貴方の事を全力でお仕置きしようかと思いますの。もし、お仕置きが嫌なら本気であの相手を倒してくるのですわ。」


マーガレットが指し示した先には、爆発の衝撃で吹き飛ばされたアクリスの対戦相手が居た。


「でも、距離の相性が…。」


バン!


マーガレットの足が地面を踏み鳴らした。


「もう1度聞きますわよ?やるかやらないか。お仕置きされるかされないか。ですわ。」


アクリスは恐怖のあまりフリーズしそうになる思考を必死で回転させる。


(何もしなかったらお仕置きで、もし負けてもお仕置きで…でも勝てたらお仕置きじゃ無い…って事は、やって見た方がいいよね?)


「わ、分かった。やるよ。」


「それでいいのですわ。」


マーガレットはニッコリ微笑むとアクリスから距離を取る。向かう先はミータの隣。


「ミータ!」


「は、はいっ!?」


ミータはマーガレットに大声で呼ばれてビビる。


「アクリスの戦いに手を出しちゃダメですわよ!」


(なんだそんな事か。むしろ楽が出来るんだから喜んで従うよ。)


「分かった!」


「あら。もしかしてもう戦い終わっちゃった?」


そう言ってやって来たのはマリアだ。マーガレットはフンっと鼻を鳴らす。


「まだですわ。アクリスが腑抜けているから、今気合いを入れさせましたの。これから本気で戦うはずなので、マリアも手出しは無用でお願いしますわ。」


「うん。分かった。」


3人が見つめる先で、向かい合うアクリスと男子生徒は相手の出方を伺っていた。


(このまま中距離戦闘にまた持って行かれたら…キツイよね。って事は、そうならないように近付かなきゃか…。)


アクリスは自分の実力に自信を持っていない。それ故に、メンタルがマイナス思考に傾くと実力が出せなくなってしまうのだ。

勿論、マーガレットはそんな事は既に見抜いていた。そもそもにおいて、アクリス程の格闘技術があればらそれを応用して中距離程度の攻撃なら出来て当然なのだ。

あとは…本人がどれだけ早くそこに気付くことが出来るか。しかも、他人に言われるのではなく、自分自身の力で気付く必要がある。


(アクリス…少しは真面目に戦ってみなさいなのですわ!)


アクリスと男子生徒は同時に動き出した。



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