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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
569/994

10-5-8.チーム戦



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


魔法街西区、シャイン魔法学院のグラウンドでは激しい戦闘が行われていた。戦っているのは8人の1年生だ。


亜麻色のロングヘアーを風に靡かせながらマーガレット=レルハが叫ぶ。


「ミータ!いきますわよ!ついてらっしゃい!」


マーガレットは風を纏い一気に疾走した。ついてこいと言われたミータ=ムールは嫌そうな顔をする。…それはもう本当に嫌そうな顔を。


「も~本当に何であんなに偉そうなんだろうね。俺はあいつの奴隷じゃねえってのっ。」


と、文句を垂れるが…逆らうと後が怖いのでミータは素直にマーガレットの後を追い掛けた。


「光よ我を彼の地まで運べ!」


光が現れる。それはミータの足を包み込むと高速で移動を開始した。


「おぉ…速い!」


自分で使った魔法なのにその速さにビビりながらミータはすっ飛んでいった。


今更ではあるが、彼等彼女等は4人1組のチーム戦を行っている。シャイン魔法学院に在籍する学院生達は、神に関連する解釈を出来る属性を持つ者のみだ。街立魔法学院にそういった入学制限はなく、ダーク魔法学院は特殊な属性というという制限が付いてくる。

故に、シャイン魔法学院とダーク魔法学院の学院生数は街立魔法学院に比べると少ない。しかし、その厳しい入学条件があるからこそ学院間の実力には然程差が無いというのもまた事実だ。


さて、そんな神に関連すると解釈が出来る属性を持つ者同士の戦闘は一言で言えば煌びやかなものだった。それは、属性【光】を操る学院生が多い事が理由の1つ。もちろん属性【光】を持たない生徒も在籍している。その1人がマーガレット、ミータと同じチームを組んでいるマリア=ヘルベルトだ。彼女には現在2人掛かりで大量の魔法が撃ち込まれていた。


「くそっ!やっぱりマリアの防御を崩すのは無理だ!別のやつんとこに向かった方がいいって!」


「でも、マリアが動き出したらそれはそれで大惨事だろ!?」


マリアに攻撃をしかけている2人の男子生徒は焦っていた。さっきから全くマリアに魔法が届かないのだ。それもそのはず…マリアの属性は極属性【鉄壁】。所謂、防御に特化した属性だ。彼女が入学してから現在に至るまで彼女の防御魔法を打ち破った者は同学年には居ない。そして、防御を極めた属性はその防御力を攻撃に転じることで、途轍もない破壊力を生じさせることが出来た。

つまり、防御に特化した属性のはずなのに攻撃をしてもめっちゃ強いという…ある意味、というかほとんど反則級の魔法の使い手。それがマリア=ヘルベルトなのだ。


マリアは視界の隅に疾走するマーガレットとミータの姿が映る。


(そろそろ決着をつけるのかしら。ん~私も動こうかな。)


マリアは周りに展開していた遮断壁(相手が放ってきた属性魔法に合わせて多重展開しているので、約6種類)を一気に膨張させる。すると、マリアを押しつぶそうと迫っていた魔法達は弾かれ、消え去った。


「やべぇマリアが動く!」


「止めろって!」


2人の男子学院生は焦り、そしてすぐに光を収束させて高密度のビームをマリアに向けて放った。

それに対してマリアの取った行動は至って単純なものだった。まず、両手を覆うように遮断壁【光】を発動。地を蹴り、男子生徒2人に向かって高速で移動を開始する。その向かう先からは2本のビームが迫り来るが、マリアは焦らない。右手と左手で1つずつビームを弾くと、2本のビームの間を切り裂くようにして直進を続ける。

男子学院生はそれを見ると背を向けて全力で逃げ出した。


「やっぱ俺たちで止めるとか無理だったんだよ!逃げろ!…ぶへっ!」


しかし、逃げ出した男子学院生はすぐに見えない壁に弾かれる。それは、マリアが遠隔展開した物理壁だった。それにぶつかってよろめいている間に逃げ道を全て塞ぐように物理壁が展開される。


「逃がさないわよ。」


男子学院生に追いついたマリアはそう一言だけ告げると、手を覆っていた遮断壁【光】を解除。続けて反射壁【物理】を両手に展開する。それを見た男2人は顔から血の気が一気に引いてしまう。


「も、もしかして…。」


「マリア俺たちが悪かった許してくれ…!」


「何言ってるのよ。あなた達に恨みは無いけれど私達、今は敵でしょ?容赦はしないわよ」


マリアは一気に接近すると男2人を全力でぶん殴った。因みに、彼等の足は既に物理壁で固定して逃げられないようにしてある。そして、殴った瞬間に彼等を縛る物理壁と行く手を阻んでいた物理壁を解除する。反射壁【物理】の効果が発動され、男達はもの凄い勢いで吹っ飛んでいった。


「ふぅ。終わったわね。じゃ、あっちの手伝いにでも行こうかしら。」


マリアはトコトコとマーガレット達が向かった方角へ歩き出した。


一方、マーガレットが向かった先では黒髪短髪(何故かオシャレ要素は全く感じられない)に、つぶらな瞳

(要は目が小さい)に、ちょっと小太り君ではあるが筋肉質であることは間違いがない男…アクリス=テンフィムスが苦戦を強いられていた。彼の戦闘スタイルは肉弾戦だ。そこに属性【光】と属性【爆】を織り交ぜる事によって爆発的な火力を生み出すことが出来る。…ただ、1つの問題点があった。それは、アクリスの火力が近接戦闘に限定されてしまう事だ。アクリス=テンフィムスは近接戦闘を得意とする代わりに、中距離や遠距離における魔法戦闘に関してはズブの素人と言っても差し支えがない程の実力しか有して居ない。


そして、今彼が苦戦を強いられているのもその理由に依るものだった。相手の魔法使いはアクリスとの距離が縮まらないように巧みに立ち回り、魔法を次々と飛ばしてきているのだ。


(くっ。俺の弱点を綺麗に突いてくるなぁ。このままだとやられちゃうかも。)


一瞬の油断をした隙に足下へ相手の光魔法が着弾。その衝撃でアクリスは体勢を崩してしまう。


「うわっと…!」


そこに向かって光の渦が放たれる。よく見ると光の渦は細かい光の刃で構成されていた。


(これ…飲み込まれたらめっちゃ痛いんじゃない?でも、タイミング的に逃げられない…!)


覚悟を決めたアクリスに女性の声が飛び込んできた。


「アクリス~~~!!あんた、諦めんじゃないわよ!」


声の主はマーガレットだ。彼女は光の渦に向けて竜巻、光のレーザー、巨大な火の塊を連続で放つ。

それら4つの魔法がぶつかり、爆発を引き起こした。



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