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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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10-5-4.チーム戦



グラウンドでは火乃花チームとルーチェチームが激しい戦闘を繰り広げている。

その試合を眺めながら龍人とタムは話をしていた。


「でだ、朝に言ってた俺が勝てない理由ってなんなんだ?」


「それなんすけど、龍人さんの実力って上位クラスの中でも飛び抜けてるじゃないっすか。だからこそ、その動きにチームメンバーが着いていけてないんすよ。実力差があり過ぎるからこその不協和音ってやつっすね。」


「…いやいや、俺ってそんなに強くないぞ?」


タムは口をとんがらせ、首を横に振る。


「違うんすよ。そこなんですよ。龍人さんは多分向上心が強いんでしょうね。そのせいでチームメンバーの実力はある程度把握出来ていても、チーム内での自分の実力を把握出来てないんすよ。だから、龍人さんのイメージに対して他のメンバーの動きがワンテンポ遅くなると思うんですよね。」


タムの言う事は一理あるかも知れないと龍人は思う。実際に龍人のイメージ通りに全員が動けば脱することが出来た危機も少なくはない。咄嗟の判断をする時に自分の基準で判断をしてしまっているという事なのだろう。


「そうすると…俺の戦い方をチームメンバーに合わせて下げんのか?」


「それは駄目っすね。そしたらチームアベレージが下がっちゃうんで。龍人さんの戦い方のレベルは下げずに、判断のレベルを仲間基準にして自分の動き方を自分基準で決めるんすよ。」


段々小難しくなってきた話に、龍人はちょっとだけ思考の時間を作る。


「…成る程。分かってきたかも。そうすると、仲間の実力を8割以上は把握してないと厳しいよな。」


タムは更に口をとんがらせた。


「それがそうでも無いんすよ。仲間の実力がちょっとしか分からない場合は、推測されるレベルを1つ落として行動するんす。本当にギリギリの時は推測されるレベルを1つ上げて賭けに出る事もあるんすけどね。」


「ははぁん。そーゆー事か。推測に基づく判断に対して実際の行動が下方修正されないようにすんのか。確かにそうすると予想以下の動きは減ってくるわな。」


「俺の予想っすけど、龍人さんがこの動き方をマスターすれば格段に勝率が上がると思いますよ。」


「タム…サンキュー!」


龍人が拳を向けると、タムは照れた笑いを浮かべながらコツンと拳をぶつけた。


そうこうしている内に火乃花チームとルーチェチームの試合は佳境を迎えていた。


「今よ!」


火乃花が叫びチームメンバーの1人がルーチェに向けて雷を発射する。その雷と交差するように地上の火乃花からうねる焔が喰らいつかんと伸びた。


「むむむなのですわ!」


ルーチェは叫ぶと光の輪を周囲に出現させ、雷の方向を操作して地上にいる火乃花チームの相手に向けて放つ。そこに迫る焔。これを撃退するのはルーチェのチームメンバーだ。焔に対してグラウンドから巻き上げた密度の高い砂嵐をぶつけ、追いかけるように大量の水を放った。砂嵐は水を吸い巨大な泥と化して焔を呑み込んで消してしまう。

火乃花は泥を避けるように移動をするが、その行手を阻むようにして落雷が襲いかかる。


「…やるわね!」


雷を避けた火乃花は焔槍を生成すると雷を操る相手に向かって疾走した。


(マズイのですわ!)


ルーチェは光の矢を連続で火乃花に向けて発射。その光の矢による攻撃から火乃花を護る魔法壁が展開され、ルーチェに向かって雷が迸る。そのルーチェを護る魔法壁が展開されると、雷の発生源に向けて水の矢が放たれた。

光の矢から護られた火乃花は直進を続け、相手に向けて焔槍を斬り払った。槍の穂先が相手を捉え、切り裂く。


「え…?」


火乃花は一瞬目を疑ってしまう。相手は文字通り切り裂かれたのだが…ユラユラと揺れると段々薄くなって姿を消したのだ。ら


(やられたわ…今のは属性【幻】。って事は…!)


火乃花は慌てて後ろを振り返るが、既に火乃花チームのメンバー3人は倒されていた。一瞬の出来事。しかし、確実に明暗を分ける場面でルーチェが的確な判断を下した結果と言えよう。焔槍を下ろすと火乃花はラルフに告げる。


「参ったわ。私達の負けよ。」


ラルフは火乃花の言葉を受けて手をポンポンと叩く。


「おし!全員集まれ!」


回復魔法の使える生徒が倒されたメンバーの傷を癒し、全員が周りに集まるとラルフは生徒達に問いかける。


「今の試合のターニングポイントが分かる奴いるか?」


バルクが手を上げる。


「お、バルク言ってみ。」


「あそこだろ!火乃花が槍で相手に突進した所!あそこで突進しなかったら展開が随分変わってたと思うぜ!」


バルクの答えが意外だったのか、ラルフが「お?」という顔をする。


「正解っちゃ正解かな。バルクが言うとはな。まぁ分かりやすいターニングポイントだったってのもあるか。じゃあ、その突進する場面でどうやって行動するのが良かったと思うか意見がある奴はいるか?」


女子学院生が手を挙げる。


「私だったらになるんですけど、あの場面だったら火乃花さんみたいに近接攻撃じゃなくて、1番色々なところに動きやすい中距離の攻撃にしたと思います。」


「なるほどな。どうだ?この意見に対する意見でもいし、新しい意見でもいいぞ?」


ラルフが生徒達を見回すと、バルクがまた手を挙げた。


「お、バルク。座学じゃないと積極的だな。」


「俺は座学に向かない才能を持って生まれたからな!うし!俺だったらルーチェに突っ込んだな!」


「お、面白い意見だな。理由はなんだ?まぁ馬鹿だからあんま期待してないから、思うままに言ってみ?」


「ラルフ…てめぇ俺の事を馬鹿にするの好きだろ?…まぁいいっか。ルーチェを狙うのは1番強えーからだ。厄介な奴は最初に倒すに限る。」


ここで遼が手を挙げた。


「あのー、バルクの考え方は間違ってはないと思うんだけど、さっきの状況でルーチェを狙ったら多分後ろから攻撃されてたんじゃないかな?」


ルーチェがすかさず手を挙げる。


「遼くんの意見は正しいですわ。私を直接狙ったら、確実に後ろから攻撃魔法が飛んだはずですわ。もし、私が火乃花さんなら相手4人の内3人に足止め程度の魔法を放って、残りの1人に全力で攻撃しますわ。」


「でも…それだと私の焔を避けた人が攻撃するじゃない。そこに私のチームメンバーが割り込みに入っても

、本星を倒せるかどうかは分からないわよ?だから私は少しでも早く相手に接近して倒す為に、全てを置いて一直線に行ったんだけどね。」


火乃花の意見にクラスメイト達はむむぅと唸る。要は一か八かの賭けをしたという訳だ。その賭け自体を否定するつもりは誰にもない。しかし、1つの懸念が数名の頭をよぎったのもまた事実だ。



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