表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
553/994

10-3-6.呻き声

<2018.8.1>

10-3-5.を2話続けて投稿しておりました。

10-3-6.に変更しました。

龍人と遼が怪しい人物(もはや怪しい人物と言うよりも異形者)を追い詰めたのは、住宅地域の端だった。

異形者は足を止め、ノロっと振り返ると口が裂ける様にニタァっと笑みを浮かべる。


「…なんなんだよこいつ。」


「気持ち悪いね。」


「?ぅうう?。ごぢぐをどめろぉお!…ざいごぢぐざれる。」


異形者が何かを口走る。しかし、言葉がしっかりと発せられていないため、何を言っているのか聞き取ることが出来ない。


「?ぅぁ?。べんい。せかい。さがい。せがぎ!!!!」


ピシィ!!


亀裂が入る音が響く。


(何だ?こいつ、何かを俺達に伝えようとしてんのか?それに、今の音は…?)


ピシィ!!!


再びの亀裂音。


「?ぅぁ!でん…ぢ…が…。ぐ……」


突然異形者は意識が途切れたようにして崩れ落ちた。そして、体から何かが噴出する。霧…ではない。明確に表現するのが難しい何か。ユラユラと蜃気楼の様に揺れながら異形者から離れていく。合わせるようにして異形者は普通の男性の姿へと戻っていった。


そして、ユラユラと揺れる何かは上空へ上っていき、次第に薄くなり、消えていった。


(異様な雰囲気が消えた…?って事は、今の男から出て行った何かが原因だったのか?)


龍人は警戒しながら倒れている男性の近くまで寄って行く。


「う…。」


男性から声が漏れる。

呻き声。かと思ったが…男性は顔を上げると不思議そうに周りを見回し、龍人を見上げる。


「…私は何故こんな所に倒れているんだ?確か…家に帰って歩いてたはずなんだが…。」


龍人と遼は思わず顔を見合わせてしまう。あれ程の異常な行動をしていたのに記憶がないという事実。それが示すのは…。


(やっぱりあのモヤモヤした何かが原因だったのか?となると、あの正体が何かってのが気になるな。…確かギルドが言ってた予想される原因が魔獣か思念体だっけ。魔獣じゃなさそうだし…思念体なのかな。ってかそもそも思念体ってなんだ?)


遼も同じ事を考えているのか、難しい顔をして上空を見上げている。

龍人は一先ず目の前にいる男に対する返事を優先した。


「俺にも詳しい事は良く分かんないんですけど、歩いてたら倒れてたんですよ。大丈夫かなって寄ったら気付いたみたいで。」


「そうなのか…。手間を取らせてしまって悪かったね。」


男性はパパッと立ち上がると服をポンポンとはたきながら立ち上がった。


「それでは、失礼するよ。妻が家で待ってるからこれ以上遅くなるわけには行かないんだ。」


「あの…。」


立ち去ろうとした男性を遼が引き止める。


「なんだい?」


「怪我はしてないですか?」


「あぁ…。見たところ何処も怪我はしていないみたいだね。」


「そうですか…良かったです。」


複雑な顔をして聞いていた遼は最後にニッコリと笑って告げる。


「心配してくれてありがとう。それでは失礼するよ。」


男性はダンディーな笑顔を浮かべると軽い会釈を披露して歩き去って行った。


「ねぇ、龍人…変だよね。」


「あぁ。遼の銃で撃ち抜いた傷がなくなってるよな。」


「だよね。あの人の体から出たのって…なんだったんだろ?」


「いやぁ、わからん。あんまり関わりたくないのは間違いないな。」


「そうだよね。夏休み辺りから不穏な事ばっかりな気がするね。」


「…マジで俺は嫌な予感しかしないけどな。」


龍人と遼は苦い笑いを浮かべると、今回の報告をするためにギルドに向かって歩き出したのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ