2-7-40.授業 属性診断
霧状になったクリスタルが形成した文字は、龍人の予想を遥かに超えるものだった。その文字とは…
真極属性【龍】
龍人はこの文字の意味を理解を出来ずに、ユラユラと浮かぶそれを見ながら硬直している。そして、机を挟んで向かいに座るラルフも難しい顔で文字を眺めていた。机から少し離れた所に立つリリスに関しては、両手を口元に当て、如何にも驚きましたというポーズを取っている。
沈黙を破ったのはラルフだった。
「こりゃあ…たまげたな。まず、属性が龍ってのを初めて見た。しかも、契約の力を行使して無いのに、真極属性か。全く、信じられないな。龍人、ドラゴンとかそんな感じのと契約してるのか?」
龍人は、ラルフに問いかけられた所でやっと硬直を解除した。
「いや、してないですよ。ドラゴンと契約なんて、めっちゃ強い魔法使いがするもんでしょ?そもそも、ドラゴンなんて見たことすら無いし。」
「だよなぁ。お前の性格だったら、惜しげも無くその力を使いそうだもんな。」
強い力を持っていたらバンバン使いそうと言われて、やや心外なのだが…一先ずその話しはスルーだ。
「先生、もしかして俺が属性に拘らないで魔法を使えてるのって、この属性だからですか?」
ラルフは腕を組み、考え込む。
「んー、そうだろうな。そもそも、属性【龍】がどういう特徴を持ってるのかが、定かじゃないから断定は出来ないが。属性【炎龍】とかじゃないってのを見ると、ドラゴンが司る属性を全て使える可能性が高いな。ま、属性【龍】が全部の属性を使える属性なのかも知れないし、属性の副産物として様々な属性を使える可能性もあるな。因みに、お前が今使える属性はなんだ?」
「んーと、火・水・電・風・氷ってトコです。基本元素系以外は使おうとした事すらないです。使う場面も無かったし。まぁ、でも使おうと思えば使える気もしますね。基本は見たことがある魔法は、その構成が理解出来れば使えてたんで。あ…、遼が使う属性も何となくは使えるかな。」
「…なるほどな。よし、取り敢えず属性に関して周りの奴らには伏せておけ。仲間達には、属性【全】って伝えるんだ。…それでもかなり珍しいが、真極属性【龍】よりはましだろ。」
「属性【全】か…分かりました。隠し事すんのかぁ。ちょっとテンション下がりますね。」
「お前自身を守るためでもあるんだ。我慢しろ。属性については何か分かったら教えてやるから、期待はしないで待ってろな。」
そう言ったラルフは手で出ていけの仕草をすると、煙草を吸い始めた。教師のくせに適当である。
なんか冷たい対応だとは思いつつも、龍人はラルフに従って教室を出ると、多目的教室へと戻って行った。