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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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10-3-1.呻き声



無駄に長い問答を繰り返した後に、龍人と遼はしっかりと情報を共有する。


「なるほどな。って事は、この依頼をクリアすればギルドランクがCに上がるのか。」


「うん。俺は受付の男にそう言われたけど…。特別な依頼だから一気にランクが上がる。但し、それだけの難易度であることを覚悟しろって言われたよ。」


龍人は依頼書を思い出す。


「…あ、そういや俺がみた依頼書にはD×10とか書かれてなかったかも。」


ギルドの依頼書には、普通はそのランク何個分に換算されるかが表記されているのだが、龍人がみた依頼書には確かにその表記が無かった。

ここで1つの疑問が生まれてくる。


「なぁ遼、なんで俺と遼でアプローチの方法を変えたんだろうな。」


龍人の時は普通に指名の依頼があるという告知。そして、依頼書を見て受けるか受けないかの2択。

遼の時はランクが上がる特別な依頼があるという告知のみ。


「んー…ちょっと分からないけど、上手くのせられた感じはするかも。」


「だよなぁ。」


もし、受付の男が相手に合わせて話す内容を変え、2人が依頼を受けるように誘導したのだとしたら、依頼主と何かしらの繋がりがあると考える事が出来る。しかしだ、ギルドの受付をする男が誰かに与する事はしてはいけないはず。となると…?


その先の答えが龍人と遼には分からなかった。


「ま、あれだ。いちいち悩んでてもしょうがないっか。まずはこの依頼を成功させようぜ。」


「うん、だね。」


龍人と遼は街立魔法学院正門前を離れ、裏路地へと向かう。


今回の調査対象である呻き声が聞かれたポイントは毎回場所が違う。よって、何処かに張り付いて待つのではなく、色々な所を歩き回って呻き声と遭遇する必要があるのだ。根気がいる調査になる可能性が非常に高い。


龍人と遼は普段通りにあれこれと話しながら出来るだけ暗い道を選んで進んでいく。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「レイラ先生ー!おかわりー!」


男の子が片手にスプーンを掲げて元気に叫ぶ。


「はーい。今おかわり持ってくるね。」


「先生!私もー!」

「僕も…。食べたい。」

「わたちもたべいの」

「ぼくにもちーだい。」


何故かレイラは子供達から大人気だった。彼女自身の持つ優しい雰囲気が子供達を惹きつけるのか、作ったカレーの美味しさがそうさせるのか。とにかく、大人気。

相当多めに作ったカレーもギリギリ量が足りる位の盛況っぷりだった。そして、子供達全員が大人しい。以前遼がギルドの依頼で子供達の相手をした時は散々な目にあっていたが…やはり人の持つ魅力、雰囲気は子供達に敏感に伝わってしまうのだろう。


夕食を終え、お腹が一杯になった子供達はチラホラと寝始めている。その子達に毛布を掛けたレイラは、洗った食器を拭いて片付け始めた。

食器棚にしまうレイラの服がクイックイッと引かれる。


「ねぇねぇ、先生。おばけの話知ってる?」


「ん?どうしたの?オバケが怖いのかな?」


レイラは服を引っ張っていた女の子と目線合わせるためにしゃがむと、ニッコリ微笑んだ。


「んーん。怖くはないの。でもね、オバケがいるんだって。夜は外に出ちゃいけないんだって。」


「そのオバケはどんなオバケなのかな?」


「んーとね、んーとね。」


女の子はクルクル回ると両手を口の近くに持って行った。


「うー、うー、うー、って言うオバケ!」


「ふふふ。あんまりオバケの話ばっかりしてると、本当にオバケが来ちゃうからお母さんが帰ってくるまで寝てよっか。」


女の子はオバケが来るという言葉に敏感に反応する。


「え、オバケと会いたくないよ!」


「うん。だから寝よ?夢の中にオバケはこないから。」


「うん!」


レイラは女の子と手を繋ぐと、布団が引いてある所まで一緒に歩き出した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「うー。」


「うー。」


「うー…。」


スパァン!遼の平手が龍人の頭を引っ叩いた。


「龍人うるさいよ。もしかして呻き声の犯人って龍人なんじゃないの?」


叩かれた龍人は元気がない。


「やっべぇわ。腹が減り過ぎてぶっ倒れそう。」


ギュルルルル


「はぁ…ほんと緊張感無いよね。こんなんじゃ呻き声の犯人が近くにいても呻き声出せないよ。」


「それならそれで平和でいいじゃんかよ。とにかくどっかに出店ないかなぁ。マジでキツイわ。」


龍人は辺りを見回すが、街魔通りから外れた住宅街の裏路地に出店があるはずもない。

緊張感の無さに呆れつつも、そんな雰囲気を出せる龍人に救われている遼だったりもする。幽霊とかそんな類が出たらどうしようとか考えている最中に、その緊張感をぶち壊してくれたのだ。幾らかはリラックスが出来たというものだ。


「?…?…?…ぜ…の…ご。」


遼は再び龍人の頭に平手を打ち込む。

スカッ。

ギリギリで避けた龍人が遼を睨んだ。


「何もしてないのに頭を叩くなよ!」


「…?龍人、今お腹が空いて唸ってたじゃん。」


「は?俺は何も言ってないし。ってか今の呻き声は遼じゃないのか?」


「え?」


遼は硬直する。龍人が呻き声を出していない。そして、自分自身も言葉すら発していない時に聞こえた呻き声。これらが意味することは…?龍人と遼は顔を見合わせる。


「おい。」

「うん。」


2人は武器を取り出す。龍人は夢幻の周りに幾つかの魔法陣を。遼は双銃(まだレンタル品)に数種類の魔弾を形成する。

周囲は薄暗い街灯がポツンポツンと闇が侵食する道を照らすのみ。薄闇の中で何かが動く。


「ど…?…?ろ…。」


再び道に響く呻き声。それは、龍人達の正面から近づいて来る。



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