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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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10-2-22.日常と現実



3人は雷に打たれて消し炭になってしまったのか?そんな雰囲気がが上位クラスの生徒の間に広がり始める。

しかし、もちろんそんな事は無い。雷が直撃する瞬間に龍人は転移魔法を発動。遼を黒くなった雲の上方へ、更にその上にスイを転移する。龍人は黒雲の横に転移をしていた。


「うしっ。行くぞ…!」


龍人は空気を圧縮した球を作り上げ黒雲に向けて発射した。高密度に圧縮されたそれは激突する直前で空気を解放。黒雲に向けて爆風をぶつける。


雲がゆっくりと流され始め、黒が灰色に変化し始める。その中にチラリと光る金色の何か。


雲の上方でそれを確認した遼は双銃を構え連続で弾を放つ。弾は螺旋を描くように回転しながら雲へと突き刺さった。螺旋の回転に雲が掻き回され、更に黒が薄くなっていく。


金色が動く。


「任せよ!」


そこに向かって雲に飛び込んだのがスイだ。彼の役割は一刀両断。そして散水、凍結。周りの雲の粒を巻き込んで雲自体を真っ2つに凍らせてしまった。


そして、トドメの魔法を放つのが龍人だ。目には目を。雷には雷を。雷を召喚する魔法陣複数による複合魔法陣が輝く。


(これで…!)


全ての音を掻き消す雷が放たれた。凍った雲は破壊されて粉々に砕け散り、パラパラと地上に降り注ぐ。


そして…上空に残るのはキャサリンだ。


「貴方達…やるわね。あの雷を少しの時間でも耐えた事自体が凄いのに、そこから3人共転移して私に攻撃を当てに来るなんてね。残念ながら一個も当たってないけどね。」


そんな事を言う割りには服が所々破れているからイマイチ凄さを感じない。むしろエロさを感じる生徒がチラホラ居たり。しかし、キャサリンの体に傷が1つも付いていないのも事実である。


「マジか…。」


魔力を限界まで出し切った為、龍人はこれ以上戦うのがかなり厳しい状況だ。それを分かっているのか、キャサリンは龍人に向けてニコッと微笑み…急接近を始めた。


(くそっ!こんなんじゃ避けるのも…!)


魔力の使い過ぎで体が思うように動かない。必死に体を動かすが、それすらも叶わないのが現実。雷の槍を生成したキャサリンは穂先を龍人の喉元に向けて突き出した。


(動けっ…!く…!)


シュン


雷槍が下方に弾かれる。


「あら。そう言えば上に遼がいたかしら。」


「これで…!」


遼はキャサリンに向けて貫通弾を連射する。鋭い弾先が次々にキャサリンへ襲いかかる。が…しかし、キャサリンにその攻撃は擦りもしない。まるで宙を舞う妖精(エロい踊り子という表現でも強ち間違いではない…それ位服が所々際どい感じになっていた)の様に貫通弾の隙間をヒラリヒラリと通り抜けていく。

そして、見ている者達を震撼させる。キャサリンは貫通弾を避けながら少しずつ遼へ接近していったのだ。


(なんでだ?この銃弾の合間を縫って近づいて来るとか…!)


キャサリンの体に一瞬電気が走る。そして、それを遼が知覚した時には姿が消えていた。


「こっちよ。」


振り向くと後ろ回し蹴りを放つキャサリンがそこには居た。遠心力で豊満な胸が揺れるのを見る余裕が遼にあっただろうか。恐らく…無かった。むしろ見たかったかも分からない。とにかく、ヒールが脇腹に深く喰い込んだのは間違いない。それはもう未だ嘗て感じた事が無い程の痛みが遼を襲う。衝撃で息が止まり、吐き出され、瞬間的に酸欠状態になってしまう。


それでもキャサリンは攻撃の手を緩めなかった。右手に生成した縄で遼を縛り上げる。


言わば…ドSの女王降臨。


女王様はまだまだ満足しない(容赦しない)。遼を地面に向けて蹴り飛ばした。補足すると、遼は縄に縛られてからずっとビリビリしている。それはもう気が遠くなるのではないかという程に。


地面に激突する遼を受け止めたのはスイだった。水の膜で積み込むようにして激突の衝撃を和らげる。すぐ後を追う様に着地したキャサリンは関心した表情を見せる。


「あら。スイは他人への思いやりを覚えたのね。ラルフ…あいつやるじゃない。」


後半部分は口の中で呟いていたので、スイに聞き取ることは出来なかっただろう。


「我はそんなもの元から知っている。馬鹿にするでない。」


「馬鹿になんかしてないわよ?褒めてるのに。もっと素直にならないとね。」


パチンとウインク付きでキャサリンは戯けた態度を取ってみせる。


「ふん。そんなので我が惚れるとでも思ったか?年上のおばさんに興味は無い。」


近くに着地した龍人はスイの言葉を聞き、キャサリンの表情を見て…焦った。




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