2-7-38.授業 属性診断
龍人が隣の教室に入ると、ラルフが中央の椅子に座っていた。椅子の前には机があり、向かい合うようにもう一つの椅子が置かれている。大方この椅子に座って属性診断をするのだろう。
すると、横からいきなり声をかけられた。
「こんにちは。あなたが高嶺龍人君ね。背が高くてかっこいいね。じゃぁ、ラルフの前の椅子に座ってね。」
横を見ると、可愛らしい雰囲気の女性が立っていた。ふわふわのパーマに優しい顔立ちをした女性である。龍人が少し見とれていると、その女性は手をポンと叩いた。
「あ、自己紹介がまだだったね。他の生徒も私の事知らない人が多くて、自己紹介ばっかりしているから、忘れてちゃってた。私はリリス=ローゼス。リリスって呼んでね。この学校では保健の教師をしているの。授業では主に治癒系の魔法を教えているわよ。もし怪我をしたら、この保健室に来てくれればいつでも治してあげるわ。」
そこまで話し終えると、キャサリンはふんわりと笑う。多くの男が惚れてしまいそうな雰囲気をもった女性である。
「お~い、龍人!早く座れ~。後ろが詰まってるんだから。」
「あ、はい!」
龍人はラルフの所まで小走りで近寄り、席に着いた。すると、ラルフが手に小さな結晶を取り出した。5cm程の長さで、周りの面は二等辺三角形で四角錘。そして四角錘の底辺同士をくっつけた様な形をしている。
「先生、これで属性を調べるんですか?」
「あぁそうだ。これは見た目通りだが、クリスタルって呼ばれている。簡単に言うと魔力の結晶だな。もしかしてクリスタルの事知らないのか?」
「はい。初めて見ました。」
「マジか。珍しい奴も居るもんだな。」
ラルフは手の上でクリスタルをクルクルと回す。
「しゃーねぇか。じゃ、簡単に説明しすんぞ?」




