2-7-37.授業 属性診断
火乃花が隣の教室に移動して5分程すると、属性診断が終わった火乃花が戻って来る。そして、すぐに次の生徒が呼ばれ、隣の教室に移動して行く。
戻ってきた火乃花は属性診断をする5分前よりは落ち着いた表情をしていた。龍人はそんな火乃花に声を掛ける。
「火乃花、属性はさっきの通り?」
「えぇ。特に新しい属性も増えてなかったわ。」
龍人の質問にサラッと答えると、火乃花は窓際に移動して1人で外を眺め始めた。
「何か言われたのかな。少しテンション低いね火乃花。」
「そだね。まぁ、火乃花自身この属性診断に乗り気じゃなかったもんなぁ。」
落ち着いた表情では無く、やや落ち込んだ表情だったのかもしれない。と、龍人は火乃花の事を心配する。
その後は火乃花に関する話題には触れずに龍人、遼、バルクの3人で話をし、バルクが呼ばれて隣の教室へ移動した所で、龍人はふと視線を感じる。その方向へと顔を向けると、レイラが龍人をみていた。しかし、目が合いかけるとまた視線を逸らされる。
(むむぅ。本格的になんかヤバイ気がする。そんなに恨まれることしたっけ)
思い当たる節が本当に無く、やや焦り気味の龍人をみた遼が言う。
「もしかしたらさ…」
「はい!次!藤崎遼!早くこーい!」
「お!俺だ。はーい、行きます!」
何かを言おうとした遼は、そのまま隣の教室へ行ってしまった。移動する足取りはいつもよりも軽やかだ。
遼が何か気づいているらしいと分かったのだが、それによって益々分からなくなる龍人。そもそも遼が気付いていて自分が気付かないような嫌われる事をするはずがないのだ。龍人の胸中に不安が渦巻く。属性診断のウキウキ感はすでに消失していた。
火乃花は窓際、遼は診断中、バルクは属性診断から帰ってきてから様子がおかしい。体育座りでキチッと足を抱えながら、口を開け、宙を見つめ続けている。ラルフに余程ショックな事を言われたのだろうか。
龍人はレイラについて相談出来る人が誰も居ないので、1人悩み続けるのだった。
約10分程度だろうか。他の生徒よりも少し長めの時間を経て、遼が戻って来る。
すると、次に名前を呼ばれたのは龍人だった。
「はい、龍人!来い!」
(まじかー!こんなモヤモヤな気分のまま属性診断か。)
龍人はテンションが下がったまま隣の教室へと移動していく。途中、レイラをチラッと見てみるが他の女子と楽しそうに談笑をしており、龍人を見る事は一切無かった。




