2-7-36.授業 属性診断
龍人、火乃花、バルク、遼の4人は多目的室に到着する。先に走って行った遼だったが、寂しかったのかは分からないが屋上の階段を降りていた所で3人を待っていたのだ。その遼を見て3人が笑い、遼が恥ずかしそうに頬を染めたのは言うまでもない。
多目的室の中を見ると、他の生徒もほぼ全員が揃っている。通常の授業よりも集まりが具合が良い事を考えると、クラスの生徒達が属性診断を楽しみにしている事が分かる。
龍人には1つの疑問があった。
(にしても、なんも無いけど…どうやって属性調べんだろ。)
龍人が属性診断をする手段を探して室内を見まわしていると、遼に肩を叩かれた。
「ん、なに?」
振り向くと、遼が小さい声で話す。
「龍人さ、さっきからレイラに見られてるよ。何かしたの?」
遼の指し示す方を見ると、こちらを見ているレイラと目が合った。だが、すぐに目を逸らされてしまう。
それを見た火乃花が特に興味がないのか、無表情な声でひと言。
「あら、龍人君…嫌われてるんじゃない?」
「いや、特に何もして無いんだけどなぁ。」
レイラとは、クラスが決まった次の日に一緒に登校した後は、ちょいちょいと挨拶や会話をする程度だ。特に深い話をした訳でもないし、喧嘩をしたという事実もない。レイラに嫌われる理由に、まるで身に覚えのない龍人は、真剣に考えだした。
龍人が自分とレイラの過去の接点を真剣に思い出し始めてから数分後、ラルフが多目的室に入ってきた。
「よし!属性診断に関しては説明をしても意味がないから、早速属性を調べんのを始めるか。じゃあ、火乃花からやるから、隣の教室に来い。」
いつに無くキビキビとしたラルフである。心を入れ替えた…訳が無いので、恐らくは時間が掛かる属性診断を早く終わらせたいとか、そんな感じだろう。
ラルフに呼ばれた火乃花は軽く溜息を吐く。極属性の話をしている時と同じ複雑そうな顔をしている。自身の属性に何かしら思う所があるみたいなので、属性診断をする事自体に気が進まないのだろう。
だが、ここで属性診断を拒んでも仕方が無いのは本人も分かっているのだろう。すぐに立ち上がると隣の教室に移動していった。