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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
508/994

9-3-129.闇と実験



「きゃぁぁあ…!」


悲鳴が喉を振り絞る様に発せられ、火乃花は力無く膝を着き倒れた。


「ちっきしょ…!」


「いけませんわ!」


助けに入ろうとするルフトとルーチェを牽制するようにロジェスは腕を振り、そこから迸る業火が2人の行く手を阻む。

ロジェスの口元がニンマリと歪んだ。


(まずい…!)


ルフトは波動【空気】を放つ。空気が震え、衝撃波が発射される…はずだったのだが。


「やべ…魔力切れっぽい。」


プスンという効果音がぴったし合いそうな感じで魔力が萎んでいく。波動を2発、しかもその内の1つは指向性付きの波動。それらを連続で放った為に、ルフトは一時的な魔力不足に陥ってしまった。

ルーチェは残りの魔力を振り絞って光のレーザーを放つが、ロジェスの肌を微かに焦がす程度しか効果がない。


そして、爪が振り下ろされた。


ガギン!


爪が床に刺さる音が響き、その衝撃で床が砕け陥没する。


「そんな…火乃花さん?」


「マジ…?」


呆然とするルフトとルーチェ。

ロジェスは雄叫びを上げると、気を失って倒れているバルクに向かって走り出した。


「そんな何度もやらせるか…!」


ルフトは捨て身の覚悟でロジェスへ突っ込む。

ロジェスの爪がバルクを捉えようとした時、一筋の光が下からロジェスの顎を打ち上げた。


その光の正体は銀の剣。それを握るのは龍人だ。龍人はロジェスの顎にを貫くには至らなかった夢幻をすぐに引くと、足首目掛けて斬り下ろした。


ガギィン!


またしても弾かれてしまう。が、龍人はニヤリと笑う。

攻撃目標をバルクから龍人に変えたロジェスの口が開かれる。

電気が溜まり密度を増し…放出。しかし、電気が口の外に出ることはなかった。それを防いだのは反射障壁だ。特定の属性を指定する事により、その属性魔法だけを反射する事が出来る魔法だ。魔法壁の上位版である魔法障壁の更に上位版である遮断壁と並ぶ難易度の魔法である。

その反射障壁【電】がロジェスの口を覆う様にして展開されたのだ。そして、当然の如く龍人を襲う予定だった電気はロジェスの口の中で暴れ回った。


「ぐぎゃぎゃぎょぎゃぎゃ!」


プスンとロジェスの顔から煙が上がる。


「龍人君大丈夫!?」


「おうよ!助かったぜ。サンキューレイラ。」


レイラは龍人のそばに駆け寄り、ロジェスに向かって構える。しかし、龍人はレイラの前に手を出して制止する。


「レイラは2人を護っててくれ。」


龍人の手の先に魔法陣が展開すると、そこから火乃花が現れる。気は失っているが、それ以上の外傷は無い様だ。

レイラは火乃花を抱き寄せると、バルクの隣に寝す。


「俺は友達をこんなにしたあいつを許さない。…全力でやっつける。」


「もしかして…またあれを使うの?あんなに苦しんだのに…。」


「それでもやんなきゃいけないんだ。」


龍人の背中からは確固たる意志が感じられた。


「おい龍人!なーに1人で格好つけてんのさ。そんなん許さないもんね。俺も戦うぜ!」


「お、ルフト!俺に任せてくれてもいいよ?」


「それは許さないんだな!」


龍人とルフトは同じタイミングで口元を綻ばせる。

その横でルーチェがレイラのすぐ隣にやって来る。


「レイラさん。私も2人を護るのをお手伝いしますわ。なんかあの2人と一緒に戦うのは邪魔をしちゃう気がするのですわ。」


そうこうしている間に、ロジェスが電気によるダメージから復帰しつつあった。動き出すまでの時間は…恐らくあと僅か。


「よし、じゃあ行ってくる。」


「へへん!龍人!負けないかんな!」


ルフトの周りに風が渦巻く。


龍人はロジェスに向かって剣の切っ先を向ける。


「おい、お前。覚悟しろよ?」


《また我の力を欲するのか…。力に溺れたら主は滅びるぞ?》


(力なんかに溺れるか。今は…今はまだ制御しきれねぇが、絶対にいつかは使いこなしてやる。その為にも…今、ここで逃げるわけにはいかないんだ。)


《ふん。生意気なものよ。…だが、それでこそ選ばれた者だ。》


(…選ばれた?)


しかし、龍人の疑問に答えが返って来ることはなかった。

代わりに黒い靄が龍人の身体の周りに現れた。夢幻が銀から漆黒へと変わる。


(答えは無しか…。ま、いっか。今はこいつを倒すのが先決だ!)


龍人とルフトは同時に地を蹴った。



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