2-7-35.授業 属性診断
火乃花の属性を聞いたバルクが軽く口笛を吹く。
「こんなに身近に、極属性がいるとはな。しかも火の上位属性【炎】の更に上位属性【焔】ときたもんだ。すげぇな!すげえすげぇ!」
「あんまり凄い凄い言わないでね。私は、望んで焔の属性を手に入れたわけじゃないし。」
「ん?って事は極属性【焔】が嫌なのか?」
「それは違うわ。極属性【焔】なのは私の誇りよ。この属性のお陰で強くなれてるしね。ただ…極属性を持って産まれるという事自体の過程が…ね。」
火乃花は話しながら顔を曇らせ、口を閉ざしてしまう。少しの間の沈黙の後、気まずそうな顔で小さく言う。
「あんまり、家の事は話したくないか…。」
「なるほど。家の事で継承属性か。そりゃあ聞かれたくはないわな!よし、そろそろ集合の時間になるぞ!いこうぜ!」
(ん?バルクはなんか知ってるのか?)
今の話の流れは、バルクが火乃花を気遣って話題を変えた様にも見えなくはない。ここで、しつこく聞くのは得策ではないと判断した龍人は、バルクの言葉に頷く。
「じゃ、行こっか。俺も自分の属性が全然想像付かないから、実は楽しみなんだよね属性診断。」
「確かに!龍人って属性なんなんだろうね。長いこと一緒にいるけど、得意な属性とか分かんないや」
「ね!遼は本気を出した時のあの属性だろ?それ以外には考えらんないもんなぁ。」
バルクと火乃花が興味ありげな顔を遼へ向ける。が、遼はわざとらしく口笛を吹いて話を逸らした。
「ま、診断すればわかるって!先に行ってるよ!」
遼は1人で走って教室まで行ってしまった。龍人、火乃花、バルクは顔を見合わせると、苦笑しながら教師校舎へと向かう。
龍人には遼が得意な属性を隠す意味が良く分からなかった。考えられるのは、属性診断をしてみて、その属性が外れた時が恥ずかしい。もしくは、何となく誤魔化してみたが微妙な雰囲気になったので逃げ出した。このどっちかであろう。
なんにせよ、属性診断を人一倍楽しみにしている龍人だった。