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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
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9-3-120.闇と実験



クリスタルの輝きの中から現れたのは、1匹の犬だった。


(クリスタルの光の中に何か黒いのがある?)


火乃花は目を凝らすが気のせいだったのか、すぐに見えなくなってしまった。


「これだ!悔しいが俺はこれがなきゃ生きていけねぇ。だが!これがアレバ俺は無敵ナンダ!」


ロジェスの叫びに合わせて犬が風の塊を撃ち出した。


「いきなりね…!」


火乃花は魔法壁を前面に張って防ぐ。


「火乃花さん、犬は任せましたわ!」


ルーチェはそう言い残すとロジェスに向かって駆け出した。


「ひゃはっ!来いよメス犬共!」


ルーチェは数多の光球を雨の様にロジェスへと飛ばす。ここでロジェスの持つクリスタルがまた輝き、巨大な熊が召喚された。


「ぐるおおぉ!」


熊は雄叫びを上げると体を広げて光の雨からロジェスを守る。


「もう少し作戦とかないのかしら…。ま、今更だけど…!」


火乃花は焔剣を片手に犬に急接近する。


(街魔通りでは大分魔獣に遅れをとったけど、今回は最初から全力で行くわ!)


焔剣を犬に向けて叩きつけると、犬の前面に風の渦が出現。焔と風がせめぎ合う。火乃花はすぐに焔剣から手を離すと焔はそのまま風の渦に圧力を掛ける様に残し、次の魔法を発動した。


火乃花の右手に着けられた焔神ノ環が赤く光る。


「燃え尽きなさい!」


犬の足下が赤く光ったと思うと、焔の柱が犬を飲み込む様にして立ち昇った。


(火乃花さんやりますわね。私も負けてはいられませんわ!)


やる気を漲らせたルーチェは熊に向けて右手を翳す。


「断罪の光!ですわ!」


小さな光が熊に向けて走り、胸の中央に突き刺さる。


「ぐるるる…?」


熊がルーチェに向かって走ろうとすると、光が刺さった胸を中心に光が十字架を象る。熊が身を仰け反らせて苦しむと、十字の光はそのまま熊を呑み込んで消え去った。


魔獣が光と焔によって消された事で、ロジェス対火乃花、ルーチェの構図となる。


「てめぇら…街魔通りの時は手ぇ抜いてやがったのか?」


「違うわよ。あの時は倒しちゃっていいか悩んでたのよ。これでも人の子だからね。」


「うんうん、そうですわ。命は大切にしなければならないのです。ただし、今回に関しては違いますの。魔力を使い切った動物さんたちが霧のようになって消えてしまうのなら…あの時の悲しそうな鳴き声は忘れませんわ…そうなる前に、私達の手で。私はそう覚悟していますの。」


ルーチェの強い眼光がロジェスを射抜く。


「そうね。アレだけ街を壊して、それで笑ってるなんて許せない。私はあなたを倒すわ。」


火乃花もロジェスへ鋭い眼光を向ける。

覚悟。それは人間が最後の大切な一歩を踏み出せるかを決める鍵の1つになり得るもの。

それを持った火乃花とルーチェは、街魔通りの時とは格段に違う実力を発揮していた。


「はははははははは!そうかい!覚悟か!そうかそうかそうか!」


甲高い声で笑うロジェスは、突如低い声を捻り出すように喋り出した。


「俺が好き好んでこんな事をしてると思ってるのか?俺にだって人間の心くらい残ってんだよ。だかな、そんな大切な物ですら消し飛んじまうんだ。俺はこれからどうやって逃げればいいんだ。これが無くなったら俺は精神が崩壊する。生きていけねぇ。だから、だから、俺は生きるためにあいつらに従うしかねぇんだ!俺も覚悟しようじゃねぇか!俺も、俺は生きる為にてめぇらをぶっ倒す!」


ロジェスは手に持つクリスタルを自身の胸に当てる。すると、クリスタルはロジェスの体に同化するように消えていった。


「ぐ…が…。??ぅぅぅあああ!」


ロジェスの身体に異変が起きる。



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