9-3-107.闇と実験
魔法群が着弾する。様々な属性と質量の魔法が1箇所に集中したことによりって、魔力同士の反発が重なり誘爆した。魔法使いが1人で引き起こすことが難しい規模の爆発が引き起こされた。
「おーおーすっげーな。遼、任せたぞ?」
転移で部屋の上空にいたラルフは遼の肩をポンと叩くと、部屋の中央に向けて急降下して行った。
「任せたって…ホントにラルフ…大丈夫なのかな。」
遼は作戦内容に不安な部分を覚えながらも双銃を周りに向けた。
(先ずは数を減らさないとだね。散弾で広く浅くダメージを与えて怯ませて、貫通弾で一気に落とそうかな。)
遼が双銃で散弾を放ち始めた時にラルフは床に着地した。
上からボトボトと小さめの鳥が落ちてくる。
(おーおー、無属性でも何とか戦えてんじゃん。よし、俺も頑張りますか。)
ラルフは部屋にある1つのドアへ右手を向ける。先に進むためのドアだ。
右手のすぐ先の空間が歪み始める。それは次第にくっきりと目に見えるようになり、ユラユラと球状で留まった。
「一気に行くぜ。」
ラルフはニヤリと笑いながら、空間が歪められた事により発生し球の中に押さえつけていた荒れ狂う力を解放した。
ラルフとドアを中心線として左右に22.5度、合計45度の角度幅を衝撃波が呑み込んだ。
魔獣達が吹き飛ぶ。数頭の防御魔法を使える魔獣だけが辛うじて踏ん張るのみだ。
「うしっ!龍人いけ!」
ラルフは叫ぶのと同時に次元砲を放つ。圧縮した次元がビームの様にドアへと伸びていく。そのすぐ後ろを追いかけるように龍人が姿を現した。夢幻の切っ先に次元の歪み連続展開した魔法陣で発生させ、ドアを貫くべく突進する。
「うおぉお!」
直撃。爆発。破壊。
ドアに張られていた防壁は一瞬で打ち破られ、道が開く。爆発が収まった頃には既に龍人の姿は無かった。
(あの爆発ん中に躊躇無く突っ込めるか。やるなぁ龍人。)
遼がラルフのすぐ横に着地する。
「上手くいきましたね。」
「もちろんよ。さて、と。遼。こっからはノンシナリオだ。全力で行くぞ?」
「勿論です。」
遼とラルフ。2人は口元に笑みを浮かべると力強く地面を蹴った。




