9-3-103.闇と実験
ドアの先にあったのは複数のモニターが陳列されている光景だった。
「すごい数ですね…。」
「そうだな。ここまで数があるとは思わなかったわ。」
遼はモニターを1つ1つ眺めて行く。観察している内に、どうやら施設内の監視モニターとしての役割を果たしているらしい事に気づく。
バン!
机を叩く音に横を向くと、ラルフが机に両手をつきながらモニターの1つを喰い入る様に見ていた。
「どうしたんですか?」
遼も横からモニターを覗き見る。
「………龍人?」
そこに映っていたのは龍人だった。宙を飛ぶ鳥が氷を降らせ、それを防御している。
「おいおいマジかよ。龍人がなんでここに居るんだ。この部屋は…実験室か?遼、行くぞ!」
「あ、はい!ラルフは場所分かるの?」
「あぁ任せとけ!ま、多分だかな。」
ラルフと遼はモニタールームを飛び出て駆け出した。部屋を出る直前に振り向くと、龍人に熊と狼が迫っていた。
(龍人の事だから大丈夫だとは思うけど…。急がなきゃ。)
焦る気持ちを抑えて遼はラルフに続き、ラルフは先程よりも更に苦い表情を浮かべながら疾走する。
10分程だろうか、ドアを開けて白い廊下を走る。を繰り返していると、ラルフが突き当たりの壁の前で立ち止まる。
「どうしたんですか?早く行かないと…!」
「まぁそう焦んなって。確かここに大きめのドアがあったんだけどよ。無いんだなこれが。」
「いやいや。無いって…そしたら別のドアを探さなきゃですよ!」
ラルフがいつものニヤリを浮かべる。
「まぁアレだ。入口がなけりゃ、作ればいいんじゃね?ま、任せとけ。」
ニヤニヤするラルフの周囲に魔力が渦巻き始めた。




