2-7-33.授業 属性診断
ラルフが出て行った後の教室は属性の話題で持ちきりである。ほとんどの生徒が自分の属性を完全に把握していないので、互いに属性を予想して盛り上がっている。今まで主体で使っていた属性の他に使える属性が見つかるかも知れないと思うと、テンションが上がるのは自然と言えよう。
龍人はクラスの中で最も属性が何なのか気になる火乃花の所へ近づき、声を掛けた。理由は単純。火乃花の実力は上位クラスの中でもトップクラスであるからだ。正直、火乃花と本気で戦った場合に簡単には勝てないだろう。負ける可能性も十分にあり、勝ったとしても満身創痍での勝利になる事は間違いないであろう。
「お疲れさん。火乃花の属性って何なの?」
「私の属性?んー…いずれ皆にはバレると思んだけど、あんまりここで言いたくないなぁ。外でご飯食べながらでもいい?…遼君も聞きたいみたいだし。」
火乃花の言葉を受けて遼の方を見ると、机に肘をつきながらこちらを眺めている。何と無く見ている風を装ってはいるが、龍人には分かる。遼は会話に割り込んできたいくらいに興味津々な目をしている。
ここまで分かっていて誘わなければ親友ではない。
「おい遼!飯いこーぜ。」
「ん?分かった!今行く!」
分かりやすい程に乗り気な反応である。この素直さがそれが遼の良い所でもあるわけだが。
遼が寄ってくると、何故かおまけてわバルクも一緒に近づいてきた。顔がキラキラと輝いている。
「なぁ、俺の属性ってなんだと思う?今まで強化系の魔法しか使った事がないんだよ。属性調べるの楽しみすぎるぜ!これで皆がぶったまげるレア属性を持ってたら、俺マジでカッコいいよな!なぁなぁ、火乃花は俺の属性なんだと思う!?」
「そんなの知らないわよ。本当に何にも考えないで魔法を使ってるのね。頭まで筋肉じゃない。」
火乃花が面倒臭いと言わんばかりの口調で冷たく言い返す。が、さすがバルク…全く堪えない。
「お~。確かに毎日鍛えてるから、脳みそも筋肉かもな!火乃花、面白い事言うなぁ~!それにしても俺の属性ってなんだと思うよ?全く想像つかないぜ。」
皮肉が全く通じない上に同じ話を繰り返すバルクに、火乃花はこめかみを押さえてため息を吐いてしまう。
少しピリピリした空気に変わりつつあるのを感じ取って焦った遼が慌てて話題を変える。
「取り敢えずさ、飯行こう!場所はどこにしよっか。俺お腹空いて限界だよ。」
「場所は屋上がいいわ。属性って他人に知られると不利になるから。」
火乃花もこれ以上バルクと無駄な問答をするつもりは無いらしく、すぐに遼の話に合わせて返事をしたのだった。
それにしても、そんなに特殊な属性なのだろうか。というか、クラスメイトを警戒する必要するがあるのだろうか。話しながら少し曇った表情をする火乃花を見て、疑問に思う龍人。後ほど詳しく聞けるだろうと思い、今は触れないでおく。
その後、それぞれ昼ごはんを調達後、屋上に集合ということで話がまとまった。




