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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
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9-3-100.闇と実験



狼はその牙に風を宿し、熊は両腕に雷を宿す。犬は遠吠えと共に炎を飛ばし、雀は空から氷柱を落とす。

普段の龍人であれば直ぐに転移魔法や全方位の魔法壁、防御壁を多重展開して防ぎ切り、すぐさま反撃に転じていたであろう。しかし、思考のループによる焦りが反応を鈍らせてしまう。ギリギリ間に合ったのが防御壁と魔法壁の複合単一展開のみ。それらは遠隔の魔法は防ぐことに成功するが、狼と熊の突進に耐える事が出来ずに粉砕されてしまう。


「くっ…!」


咄嗟の判断で風の渦を同時展開で放つ。それは3頭の狼と1頭の熊に直撃し後方へと吹き飛ばした。

しかし残り2頭の狼と2頭の熊は渦を横に避け、左右から回り込む形で龍人を挟撃する。


(マズい…!)


魔法陣が展開。狼の牙と熊の爪が龍人のいる場所を切り裂く。しかし、それは龍人を切り裂くことはなく、空を切った。


「ガルルル…!」


狼は涎を垂らして辺りを見回し、熊はゆっくりと動きを止めた。

転移魔法で攻撃を避けた龍人は上空から4頭の動きを観察する。


(普通だったら狼と熊で攻撃しあいそうなんだけど…それがないって事は、有る程度コントロールされてるのか?でも、さっきの雀は無差別に攻撃してたよな…。)


動物達の動きに統一性が見られないことから、マインドコントロールのような処置が施されていない事は分かる。しかし、動物同士での同士討ちが無く、基本的に龍人を攻撃対象としている所から、何かしらの法則性があるはずなのだ。


(動物には無くて、俺にだけあるもの…。言葉?いや、何か話す前に攻撃されてる。くそっ全然分かんねぇ!)


龍人は魔法陣を一気に多数展開する。そこから発生するは数多の風刃。それらは龍人と夢幻に纏わり付き敵を襲う乱刃となる。龍人はそのまま狼と熊に向けて垂直落下した。


「いっけええぇ!」


風の唸りが周囲の音を奪い、一気に4頭に襲いかかった。

直撃と同時に風塵が舞い、風の刃が周囲の壁や床を抉る。龍人は着地と同時に近くの狼に向けて夢幻で連撃を放つ。一気に5発斬り込むと、続けざまに熊へと向かう。熊は風刃の直撃を受けて態勢を崩していた。龍人はその懐へ踏み込み、下からの斬り上げから星の形を描くように斬りつける。夢幻が描く星の軌道は光となって空中に残り、龍人はその星に左手を当てた。


「よし!」


夢幻の描いた星が煌めく。星は煌めく光となって夢幻へと向かう。

龍人の放った風が止み、風塵が次第に晴れると狼と熊が1匹ずつ立っていた。


「うらぁぁ!」


龍人は気合いの叫び声を上げ駆け出し、一気に夢幻を振り切った。





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