2-7-32.授業 魔法学
ルーチェが手を挙げたのを見たラルフはチョークを上に放り投げてキャッチする。
「お、ルーチェか。じゃぁ頼んだぞ~。そんなに難しくないから楽勝だろ。」
そのルーチェはゆっくりと立ち上がる。お嬢様言葉を話すだけあり、流石に物腰が優雅である。礼儀作法を仕込まれている動きだ。ルーチェは周りのクラスメイトを見回すと、柔らかい笑みを崩さずに話し出した。
「はい、それではお話をさせて頂きますわ。属性はその人が使う事の出来る属性を表しますの。なので、その属性以外を使う事は不可能ですの。生まれつき与えられた継承属性と先天的属性、この属性を如何に極めていくか。これが強くなる鉄則だと教えて頂いています。これでよろしいでしょうか?」
「おう。いい感じの説明だ。」
ルーチェはニッコリと笑うと、軽くお辞儀をして席に座った。
「みんなちゃんと聞いてたか?大体の奴は知っていたと思うが、まぁそんな感じだ。属性が多い奴程、練習する属性が多くて大変ってことだ。一応言っとくが、所有する属性が多い=有利って訳じゃないぞ。…おっと、説明を忘れてんのがあったわ。さっきの契約の話だけも、契約を解除すると属性を失うぞ。あたり前っちゃ当たり前だけどな。それで、自分の属性をちゃんと把握して奴はいるか?」
クラスの数人が手を挙げる。挙げた人を確認していくと火乃花、レイラも手を挙げていた。そして、さっき龍人が疑問に思った通り、龍人は自分の属性は知らなかった。そもそも、得意な属性とかを考えて魔法を使った事がないのだ。というよりも…今さっき聞いた話では1人3属性が最大数なはずだが…。
(俺って3属性以上バンバン使えるんだよな。これってどういうことなんだろ?俺の属性ってなんだろ。毎回なんとなく直感で魔法を使ってるから、気付いてないんかな。)
自分のアホさに気付き、やや落ち込む龍人。自分の属性を把握する大切さを知ったからこそ、今までの自分の過ごし方が適当であったのが悔やまれる。
さて、ラルフは教室を見回して顎に手を当てた。眉間に寄った皺を見る限り、手を挙げる生徒が少ないのが問題なのだろう。
「…思った以上に少ないな。まぁ、直感的に使える属性を感じて使ってる奴がほとんどか。よし、午後の授業はみんなの属性を調べるか。意外と自分が知らない属性を持っているもんだぞ。じゃ、午後に教師校舎の多目的室に集合な。」
ラルフは大きく欠伸をすると、手をヒラヒラと振りながら教室から出て行った。




