9-3-85.闇と実験
火乃花は焦る。
(ちょっと…!なんで職員に混ざってご飯食べてるのよ!?)
対するルーチェは至って呑気そのもの。
少し引き攣り気味の笑顔で近づく火乃花にニコニコと手を振っている。
(こうなりゃヤケよ!)
どうしようもない状況が火乃花を吹っ切れさせる。
「始めまして。火乃花です。」
「あ、君が火乃花ちゃんかー!ルーチェちゃんから聞いてるよ。モテるんだってね!」
「えっ?」
モテるという言葉に火乃花は固まる。
「あら?モテますわよね?」
首を傾げるルーチェの様子からすると、本気で火乃花がモテると思っているらしい。
「いやいや、それは無いわよ。普段のあれはモテるってのとは全然違うわよ。」
「あら。そうなんですね。モミモミとかムニムニとか、ビリビリとかはモテてるからされてるのかと思ってましたわ。」
ルーチェの擬音語で何かを想像したらしい周囲の男達の視線が火乃花に集中する。しかもその視線が火乃花のある部分に集中しているような…。
「ちょっ…!職員の皆さんに迷惑かけられないから行くわよ!?」
「え?でも私はまだ皆さんとお話をしたいのです。」
「だから…。」
ゴーンゴーンゴーンゴーン
食堂内に鐘の音が響く。すると、食堂内の職員達が一気に動き始めた。
「あら、もうお仕事の時間ですか?」
ルーチェは隣に座るギャル風の職員に聞く。
「そうよ。これから長丁場だから、パパッと仕事に切り替えないとね。」
火乃花は退散のチャンスとルーチェに声を掛ける。
「じゃ、ルーチェ私達も…。」
「ルーチェさん!俺たちの職場を見学に来ません!?」
火乃花の言葉は燃えた(萌えた)目をした男性職員に遮られた。
「あら、行ってみたいですの。お願いしますわ。」
ルーチェはニッコリと笑うと首を傾げる。
この動作で何人かのハートが撃ち抜かれたのは言うまでもない。
「いや、ちょっ……きゃっ!」
ルーチェを止めようとした火乃花だったが、食堂から出ていく集団にまた巻き込まれてしまう。
人混みが掃けた時にはルーチェの姿は綺麗さっぱり無くなっていた。




