9-3-83.闇と実験
壊れた壁をまたぎ次の部屋へ進む龍人。
(あれ?そういや貫かれたトコの傷が治ってるな…。これも黒い靄の力か?)
貫かれた筈の所は、何もなかったかの様に治っていた。龍人は自分の体をペタペタと触りながら歩く。
壁の瓦礫を避けながら進むと部屋の奥にドアが見えてきた。龍人は迷うことなくドアを開けて先に進む。
ドアの先は真っ暗闇だった。
(魔法使ったら誰かに見つかるかな。…あんだけ暴れといて見つかってないワケないか。よし、使うか。)
龍人は光球を出現させて辺りを照らす。ここで目に飛び込んできた光景が龍人の動きを止めた。
「…なんだ、なんだこれ。」
光球を部屋中に飛ばして中を照らすと、異様な光景の全貌が明らかになる。
部屋の中にあったのは多数のガラス筒。それらの上下には何かの装置が取り付けられ、装置から伸びるチューブが液体を送っている。
そのガラス筒の中には…動物が入っていた。猫、犬、豚、猪、雀、鷹、鷲、牛…様々な動物が溶液に浸かっている。
さらに奇妙なのが、各動物の体の一部が何処かしら欠損しているという点だ。右後ろ脚が無い猫、目がくり抜かれた豚…。
「なんだこれ…。動物を使って実験してたのか?」
龍人はガラスの筒の間をゆっくりと歩いていく。奥に進むと部屋の右端から光球以外の明かりが見えてくる。
(…?)
龍人は警戒しながら光の発光源へと歩いて行く。
「…モニターか?」
そこには1台のモニターが置かれていた。
近づいて覗き込んだ龍人は…思わずモニターの画面を鷲掴みにする。
「……レイラ!?」
その画面には行方知れずとなっていたレイラが拘束されている姿が映っていた。




