9-3-71.闇と実験
龍人は中央区へ向かう途中だ。
ドレッサーに武器製作の依頼をして2日しか経っていないのだが、ドレッサーから完成したとの連絡が入ったのだ。
ラルフに連絡をしたのだが、忙しいから1人で言ってくれと言われてしまった。恐らくきっとドレッサーの所に行きたくないだけだろうと龍人は踏んでいる。
実際の所は本当に忙しいラルフなのであるが…そこは普段の行いによるものなので、信じてもらえないのは自業自得と言えるだろう。
すぐ近くを擦れ違った筈の龍人と遼が、互いに気づかなかったのは偶然か必然か。
ともあれ、龍人は中央区へと向かう。
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「あぁーーーーん!!!待ち焦がれたわんわんわん!にゃんにゃん!」
店に入るなり歓迎の声をあげるドレッサーが、急接近からのハグを仕掛けてくる。龍人はヒラリと躱しやや中腰の姿勢で身構えた。
「ちょっと待って下さい!いきなりすぎるっしょ!?」
「ふっふっふっ。この店に入った男は私の獲物なのよ!」
再びキス攻撃が襲いかかる。と思いきや、ドレッサーはクルッと回転すると歩き出した。
「取り寄せの商品が入荷したから、渡すわねん。奥のカウンターまでいらっしゃい。」
(取り寄せ?…あ、そーいや属性が【魔工】なのは秘密なんだっけ。)
奥のカウンターに到着すると、ドレッサーは下から1本の剣を取り出した。
外見は何の変哲もない普通の剣である。
「龍人ちゃぁん。普通の剣とか思ったでしょお?」
「いや、そんなことないっす!」
(何でそんな的確に人の心を読んで来るんだよ…!?)
内心冷や汗の龍人。
「あら、本当かしらねん?私ってぇ、沢山の男達と触れ合ってきたから外見の仕草で思ってる事が大体は分かるんだけどねぇん。ま、いいわ。」
ドレッサーは艶かしい目付きで龍人を見続けながら、剣についての説明を始めた。




