表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
439/994

9-3-60.闇と実験



「それはそ……だが。だから…って…う?」


覚醒しかけたレイラの意識に誰かの話し声が聞こえてくる。白衣の男や、銀髪の男(…確かセフと呼ばれていただろうか?)ではなく女性のものだ。


「ふん。だからそれでは計画通りに行かないだろう。」


続いて聞こえたのは…恐らくセフ。

目を開けずに2人の会話を聞こうと思ったのだが、セフの言葉以降沈黙が続いている。

レイラは気を失う前に見たものをぼんやりと思い出していた。


(あれって…犬だったよね。でも、顔は犬だったんだけど、胴体がなんか不自然だった気がするな。)


「…分かった。そんな強引な方法だと他に何を引っ張り込むか分からないが、言われた通りにやってみる。」


女性の声だ。何かを命令されていたのか。ただ、話し方のニュアンスからは不承不承引き受けている感が否めない。

そんな分析をするレイラの耳に、足音とドアが開閉する音が聞こえてきた。

そこから続く沈黙。


「おい、娘。起きてるのだろう?」


セフがレイラに声を掛ける。その冷たい、感情の籠らない声が向けられると、嘘をつくと何をされるか分からないという気持ちになってしまう。

このまま気を失っているフリをするか。

素直に目を開けるか。


レイラは本能的に後者を選択する。


目を開けると、少し離れたところにセフが腕を組んで立っていた。

相変わらずその銀髪はとても綺麗で、レイラは目を奪われてしまう。


「なに人の顔をジロジロ見ている。…お前は自分の置かれている状況が分かっているのか?」


「分かってるけど…。」


レイラはセフの言葉で状況の再認識をする。しかし、恐怖よりも諦めの感情が勝っていた。


「意外に図太いのか?まぁいい。暫くはここで魔力を提供してもらわないといけないからな。」


「え…しばらくって…。」


レイラの問う様なセリフを聞き流すと、セフは怪しい笑みを残しながら、踵を返し部屋を出ていった。


(私…どうなっちゃうんだろ?)


不安な気持ちを抱えるレイラを他所に、再び装置が駆動音を響かせる。


「う…。」


腕から力が抜けて行く感覚にレイラは顔を顰める。前回よりも今回の方が苦痛を伴っている。…それだけ魔力がギリギリという証拠なのだろう。


レイラは深い眠りに着くように意識を手離した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ