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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
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9-3-48.闇と実験



ラルフの転移によって連れて来られたのは、街立魔法学院教師校舎にある訓練室の前だった。


「なんだ?俺の属性について何か分かったんじゃないのか?」


「ん、そうだ。その前に少し確認したい事があるからな。ま、取り敢えず中に入ろうぜ。」


ラルフが訓練室のドアを開けようとすると、隣の訓練室のドアがバタン!と開く。


「ちょっと!そんなん無理でしょ!?」


開いたドアから飛び出てきたのは遼だった。転がるように出てきたと思うと、座り込みズリズリと後ずさる。


「ひっひっひっひっひっ…。こんな簡単な事も出来ないのかい?まだまだ序盤だよ?さー逃げるな藤崎遼!」


怪しい笑いと共に現れたのはキタル=ディゾルだ。白衣をゆらりと揺らしながら、幽霊の様に遼へと歩み寄る。

対する遼は完全に逃げ腰だ。


「ちょっちょちょ!待った待って待って!あんな特訓してたら骨も残らないじゃんか!」


「くくく…。だからこそやりがいがあるんだよ。そんなのも分からないのかな?」


捕まえようとするキタルから必死に逃げようとする遼は、ここでラルフと龍人の存在に気付く。


「あ、龍人!ちょっと助け…?…!」


助けを求める遼の首根っこをキタルが鷲掴みにする。


「さぁ。時間は無いんだ。何たって僕の研究時間を削ってるんだからねぇ!」


キタルはセリフと共に遼を訓練室の中へぶん投げた。


「うわぁぁ…」


フェードアウトする遼の叫び声。

キタルはラルフと龍人を見るとニンマリ笑う。


「藤崎遼がやっと動き始めましたよ。腰が重い生徒だとラルフ先生も中々に大変ですね。」


「やらされているじゃなくて、やってるが大切だからな。…今のがどっちかは判別しがたいけど。」


「ひっひっひっ。きっかけをもらって、それを掴みに来たんですから。ここから先は逃がしませんよ。」


ラルフとキタルの話がイマイチ理解できない龍人は遼が消えて行った部屋の中を覗こうとする。


「ヒヒヒヒ。高嶺龍人。」


「…はいっ!」


キタルからいきなり呼ばれた龍人は、身の危険を感じて動きを止めた。


「その中は立ち入り禁止だよ?生徒校舎の特訓室じゃなくて、教師校舎の訓練室を使ってる意味…君なら分かるよね?」


(そりゃあ他の人には秘密で訓練をするからの教師校舎訓練室だもんな。でも…気になるな。)


龍人の目線が再び訓練室へ向き始める。


「龍人…やめとけ。溶けるぞ?」


ラルフがポンと龍人の肩に手を乗っけて覗き見を制止する。


「え…溶けるって。」


「いや、マジだ。溶ける。それも跡形もなく。」


「……。」


龍人は様々な想像を巡らせながらキタルへと視線を向けた。キタルは龍人と目が合うとニンマリと笑う。そして、その両手には何やら怪しい液体が纏わり付いていた。

龍人は本能的に身の危険を感じ、遼の心配(半分以上は興味本位)をやめる。


「すいませんでした。遼をよろしくお願いします。」


「ひっひっひっ。物分りが良いのは懸命なことだよ。」


「はく…も…ぉ!」


訓練室の中から何やら叫び声が聞こえるが、その場の全員が耳から耳へと聞き流した。


キタルは肩を揺らしながらユラユラと訓練室の中へ消えていく。そして、遼の壮絶?な叫び声が一瞬響きドアがバタンと閉まった。


静寂。


「よし、龍人。俺達も訓練室に入るぞ。」


「はーい。」


龍人とラルフは先程までの事を無かった事にして訓練室へと入って行った。



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