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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
424/994

9-3-45.闇と実験



火日人は火乃花とルーチェの顔を見て、横に座る事務局の青年が更に強張った顔をしたのをチラリと見ると、平時よりも低めの声でその名を紡ぐ。


「その行政区高官の名前は…ラーバル=クリプトン。魔商庁長官、つまり魔商庁のトップだな。行政区にある各庁の長官は、魔法街の行く末を左右する程の権力を持っている。そんな人物が関わっていたとなると大事件となる訳だ。早急に真偽を確かめる必要がある。」


「分かりましたわ。要はラーバルさんを追跡して怪しい人物と接触しないか、怪しい場所に出入りしていないかを調べれば良いんですわね?」


「ああ。大まかにはその通りだ。火乃花、何か聞きたいことはあるか?」


話を振られた火乃花は何か聞く事はないかと思考を回転させる。政略結婚させられる事を避ける為にも、ここはしっかりとした質問をするべき。と、火乃花の直感が告げている。


「そうね…。もしもだけど、実際にラーバルって人が動物の実験に関わってたとしたら、闇の魔術結社と繋がってる可能性もあり得るわよね?」


火乃花の言葉に火日人は満足したのか大きく頷く。


「もちろんだ。ラーバル=クリプトン程の権力を持った人物が関わるとなると、余程大きな見返りがあると考えて間違いがないだろう。その場合、闇魔術結社の裏に更に大きな組織がいる可能性もある。…まぁ、まだ全てが推測の域に過ぎないんだがな。」


ここで再びルーチェが口を開く。


「私も、もう1つ質問してもいいでしょうか?ラーバルさんを怪しいと思ったきっかけを教えて欲しいのですわ。」


質問をして良いかの返事を待たずの質問。火乃花は少しヒヤリとし、事務局の青年も「勘弁してくれ」と言わんばかりの顔芸を披露しているが、当のルーチェと火日人は特に気にした様子もなく会話を続けていく。


「確かにそれを伝えていなかったな。我々執行部は、動物が大量に輸出されているのにも関わらず行き先が不明である事から、ある程度大きな権力がその隠蔽に働いていると当たりをつけて、各高官の動きを調べていた。そこで引っかかったのがラーバル=クリプトンだ。以前の彼は毎日仕事が終われば、真っ直ぐ家に帰っていたのだが、ここ最近は30分位帰る時間が遅くなっているらしい。ここから、彼が仕事の後に何処かに立ち寄っている事が推測される訳だ。帰る時間が遅くなった時期と、中央区からの動物の大量輸出がある程度ではあるが、重なっている事も要因の1つだな。まぁ、大した根拠はないんだが。それでも調べてみる価値は十分にあると私は踏んでいる。」


ルーチェはフンフンと頷くと、真剣な顔で人差し指を1本立てた。



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