9-3-42.闇と実験
「あの、キタル先生?そろそろ帰りたいんですけど…。」
「いや…そもそもの問題として、これは固定化の概念?……まてよ。魔術的な要素も含むなら…。」
「あの…。」
「いや!そうか!そう考えると複合的要素を基準に…。」
「聞いてます?」
「む…。しかし、これだとオーバーテクノロジー…。」
「もしもーし?」
「これは…調べ直す必要があるね!」
キタルはいきなり遼の方へ首をグリンと回す。「ひっ!」的なリアクションで後ろに下がる遼。
「藤崎遼。この武器を僕に預けてくれないか?非常に悔しいんだけど、今の資料だけだと刻印について完全に解き明かせないんだ。これー解き明かせれば…ひひっ…僕の研究も進むしね。って事で預かるから、代わりにこの武器を使って特訓してあげるよ。ひひ。」
「え…?問答無用ですか?」
遼は無理矢理渡された何の変哲も無い2丁の銃を唖然として眺める。
その遼の態度が気に喰わなかったのか、キタルはガタンと椅子から立ち寄ると遼へ詰め寄った。
「ちょっと!藤崎遼!君はこの武器をガラクタだと思ってるだろ?まぁ…確かに君の銃に比べたら価値は下がるかも知れないけど!」
詰め寄られ、目の前にある血走った目に睨み付けられた遼はタジタジだ。
「えっと…そんなこと無いです!」
取り敢えず否定。本心は勿論、別の場所に置いておく。
「ふん。どうだか。ま、じゃあその銃について説明するよ?どちらも属性が無い銃だよ。ひひっ。つまり、無詠唱魔法でしか使えないんだ。…ただし!」
ここでキタルは語調を強める。
「属性が無い代わりと言ってはなんだけど、君の銃と同じ様に様々な種類の弾丸を発射することが出来るんだ。藤崎遼、君にはこの武器で属性魔法を使っている今と同じレベルで戦える様になってもらう。」
遼は耳を疑う。
「えっ?どういう事ですか?属性魔法を使わないで同じレベルなんて…。」
一般的に考えれば、属性魔法を使わないでそれと同等のレベルで戦うのは非常に困難であると言わざるを得ない。それをする様に言うという事は、何か考えがあると推測をする事が出来るのだが…。その方法が全く思いつかずに戸惑う遼を見たキタルは、笑いを漏らしながらボソッと告げる。
「ひひっ。逃がさないもんね。」
キタルによる遼の地獄特訓(様々なウンチクを長々と話す為、精神的にやられるという意味での)が始まった。




