2-7-26.授業 基礎魔法
その後はラルフがやり方を教えたお陰か3段階目をクリアする生徒が少しずつ出てきた。1番最初に1段階目をクリアした火乃花も、ラルフの説明後、程なくしてクリアをしている。勿論、遼も比較的早い段階…火乃花よりも先にクリアをして、その他のクリアした生徒達と同じく3本同時の操作に挑戦をしている。
ラルフはまだ大事な所が痛むのか、椅子に座って手を股の辺りに当てたまま身動きをしない。自業自得ではあるが、見ているとなんと無しに可哀想な姿である。
そんなラルフを見ている内に、火乃花の踵による強打を思い出した龍人はゾワッと身震いをし、矢の操作に集中する。
3本同時に操作するのは、2本同時とは桁違いに難しかった。順番に設定をするにしても、前の2本の設定を保ったまま新しい設定をしなければならないからだ。2本同時に設定をし、設定に掛ける時間を短くする方法もあるのだが、同時設定自体がかなりの難易度である。ここで生徒達は1つの壁にぶつかっていた。
因みに、1年生上位クラスの生徒全員が3段階目の2本同時操作をクリアするのは、それから1週間後となる。
全員のクリアを確認したラルフは頭を掻きながら言う。
「思ったより時間が掛かったな。こんなんじゃ昇学試験までに間に合わないぞ?」
一応、上位クラスの生徒が上の学年に上がる事を考えてくれているらしい。その辺りは生徒達の教育を放り投げずにしっかりと行っているので、尊敬すべき点であろう。
しかし、そんな教師としての良い面を綺麗に潰す問題があった。セクハラが相変わらず止まらないのだ。発言でも行動でも半分はセクハラと言っても過言ではない。生徒からはいつの間にか歩くセクハラと呼ばれるようになっていた。
そして、全員が基礎魔法実技の授業を修了した所で、魔法学の授業が再開する事となった。