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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
402/994

9-3-23.闇と実験



「遼くん!龍人くんを助けてなのですわ!」


ルーチェの声にビクッと遼の体が反応する。


(分かってるんだ。分かってるのに…!なんで俺の体は動かないんだ!?)


遼は懸命に体に力を入れるが、まるで他人の体に別の意識が宿っているかの様に、体が言う事を聞かない。


(くそっ!動け…動け動け動け!)


倒れた龍人に熊が近付いて行く。龍人の状態からして、すぐに動き出すのは…ほぼ不可能であると言えるだろう。


(俺が…俺が動かないと!)


焦れば焦る程に体と意識の接続がズレていく。


(友達の1人助けられないで…姉さんを救える訳がない!)


遼の目からひと筋の涙が溢れ出る。頬を伝い、顎に留まり、地面に落ちていく。1滴の涙はレヴィアタンの刻印へ落ちた。


「…なんだ?」


遼の手元に落ちていたレヴィアタンが光り始めたのだ。刻印の一部が深い蒼に、銃全体も蒼に包まれる。

遼は震える手でレヴィアタンに手を伸ばす。


指が触れた瞬間、頭に声が響いた。


(「「遼。忘れないでね。あなたに渡したこの双銃は、あなたを絶対に護るから。その為に、私の力も込めたんだから。この刻印がその印よ。この刻印がある限り、私はあなたの傍に必ずいるわ。」)


それは、遼の姉である藤崎茜の声だった。


「俺を…護る力。…違う。」


手の震えが止まる。遼は銃の感触を掌で感じ、しっかりと握り締めた。そして、小さく呟く。


「俺は、この銃で大切な人達を護る!」


レヴィアタンを包む蒼の光が一際強く輝く。


(もう誰も失わない!)


遼はレヴィアタンを両手で握りしめて走り出した。


遼の動きに気付いた熊が雄叫びを上げて迎え撃つ。龍人に向かって歩いている熊は、遼の事は気にしていないのか、真っ直ぐに龍人だけを見て進んでいる。


遼に向けて熊の拳が振り下ろされるが、遼は前方に薄く重力の帯を発射。その帯に沿って走り込む事で、重力の力を利用し急激に態勢を低くして熊の拳を避け、右横に抜ける。

熊は外した拳を返し、裏拳を遼に向けて放った。一瞬の切り返しによる連撃。しかし、遼は落ち着いていた。レヴィアタンの銃口を熊の拳に向けると引鉄に掛けた人差し指に力を込めた。


シュン!


鋭い発射音と共に熊の拳は内側へと大きく弾かれた。

態勢を崩した熊に向け、連続で引鉄を引く。銃口から発射されたそれはクマの体を悉く貫いた。



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