9-3-18.闇と実験
街立魔法学院正門前での様子が、やっと分かりそうな場所まで来たルーチェと火乃花は、後方から響く爆音に振り向く。
「ちょっと何よ!?」
「また爆発ですわね。」
2人が見る先…街魔通りの中央辺りは、遠くからでも見てわかる規模で砂煙が立ち上っていた。
ドォン
ドォン
と音が響き、それに合わせて大気が震える。
「これってマズくないかしら?2ヶ所で同時とか…テロじゃないの。」
「火乃花さん、どうしましょ。私としては、街魔通り中央の方に行ってみるべきかと思うのですが。」
火乃花は学院前と中央の方角を見比べる。
(今、学院前に向かってる人は少数ね。となると、ある程度腕に覚えのある人が向かってて、無い人が中央へ向かったはず。となると…。)
「ルーチェ。手薄なのは中央の方だと思うわ。私は中央に向かうべきだと思う。」
「えぇ。私も同じ意見なのです。では、急ぎますわよ。」
2人は頷くと、無詠唱魔法で身体能力を強化し走り出した。
遼はその2人の様子を屋根の上で見ていた。
(今の爆発の方に向かったのかな。それでも正門前よりは中央の方が手薄だよね。って事は、俺も中央に行った方がいいよね。)
遼は銃を一度仕舞うと、屋根伝いに駆け出した。
少し走ると横に龍人が来る。
「遼!俺さ、すっげー嫌な予感しかしないんだけど!」
「同じく!大体さ、誰がこの事態を引き起こしてるんだろうね。」
「サッパリ分からん!お、見えてきたぞ。」
龍人の言葉に合わせ、前方を注視する。
その光景の凄まじさに2人は言葉を失ってしまう。
街魔通りの中央部分は、街立魔法学院正門前と同じように地面が大きく抉れていた。そして、その周囲も所々抉られていたのだ。
それを引き起こしたのは…4頭の熊だった。




