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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
389/994

9-3-10.闇と実験



街魔通りの街立魔法学院正門前では、目を疑う光景が広がっていた。


人々はある箇所を取り囲む様に大きな輪を作って立っている。

いや…取り囲むようにではない。その場から離れるように、しかし様子を見るように動いた結果、大きな輪が出来上がっているのだ。


その輪の中心に居たのは…3匹の犬だった。


建物の上に転移してきたラルフは、目を疑う。

3匹の犬が立つ地面がクレーターみたいに抉れていたのだ。


「なんだこれは?」


ラルフは周囲を観察する。

犬を遠巻きに見る人々、その場から走って去る人々の大体2パターンに分かれている。


(何が起きたか聞いてみないと分からんな。)


ラルフは犬を取り囲む人々の近くへ転移した。


「おい、ここで何があった?」


ラルフに声をかけられたのは、綺麗な若奥様だ。ナイスバディに童顔。…決してこれがラルフの好みという訳ではないが、隣のハゲ親父に声をかけなかったのは事実である。


「あ…街魔通りを歩いていたら、いきなり爆発がありまして…。煙が晴れたらワンちゃんがいましたの。そのワンちゃんの様子が普通じゃなくて…。」


若奥様は、オドオドとした目で3匹の犬へ視線を送る。

ラルフもそれに合わせて犬の方に顔を向けた。


「…おいおい。どういう事だ。犬が魔法を使ってんのか?」


3匹の犬はそれぞれ、炎を纏う犬、水が体の周囲を浮遊する犬、風が周りを渦巻く犬。と、いう特徴を持っていた。


(なるほどな。確かに、皆が注目するわけだ。問題は…誰かが魔法を使って見せかけているのか、あの犬達が魔法を使っているのか。だな。)


「綺麗な奥さんありがとよ。」


ラルフは礼を述べると、転移魔法で周囲を一望出来る建物の屋上に移動する。


(まずは様子見と、何かしらの魔法の操作をしている奴がいないか見極めないとな。)


無詠唱魔法で探知結界を周囲に張り巡らせる。タイプは空間型。犯人に気づかれない様に、線を組み合わせるライン型も考えたが、既に魔法が使われている状態。わざわざ探知確率の落ちるライン型にするメリットがほぼ無いので、今回は空間型で周囲一帯を監視する。


(今の所、犬に向けた魔力の流れは無し…か。いよいよヤバくなってきたな。…ん?あれはスイか?)


ラルフが見つけたのはスイだった。犬を遠巻きに見る群衆をかき分けながら、一直線にその中心へと向かっている。



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