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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
386/994

9-3-7.闇と実験



街魔通りの街立魔法学院正門前にある、和をテーマとした店【侘寂茶屋】。和風のBGMが流れる店内で、スイは大好物の羊羹と対面していた。

右手にはナイフの形の楊枝。


(さて、食べるか。)


スイは慎重に楊枝を羊羹に当てる。この一刀が大事なのだ。ゆっくりでも、早過ぎてもいけない。羊羹の組織を潰さずにスムーズに切る事が、美味しく食べる大前提となる。

羊羹の美味しさはその食感で決まる。故に、楊枝で作る羊羹の断面が汚ければ汚い程、その美味しさを損ねてしまうのだ。


だからこその、慎重さ。この一刀をミスれば、あまり量の多くない羊羹を存分に堪能できる回数が減ってしまう。


スイは、何時になく真剣な表情で楊枝に力を入れる。


「お待たせしました。こちらが日本茶です。今日は渋みが控え目で、お茶本来の甘みを引き出したものです。………。」


店員がお茶を運んで来た事で、スイは羊羹入刀を一時中断する。

長いお茶の説明を聞き流しながら、早く終わらないものかと待つ。


(やっと終わったか。次こそは…)


スイは改めて楊枝を握ると、その刃先を羊羹に優しく触れさせる。最高の羊羹タイムを満喫する為に…スイの楊枝が羊羹を滑らかに切断して行く。残り半分…最後の最後まで気を抜く事はできない。


ドガーン!


突然、爆音が響く。同時に大きい揺れが侘寂茶屋を襲った。店内に響く悲鳴や、食器の割れる音。


スイも転ばないように手足で体を支える。


(なんだ…?この規模の揺れと爆音…テロでも出たか?)


少しすると、爆音と揺れが収まる。

突然の出来事に、店内の人々は目を丸くして動きを止めている。店の外では叫び声が上がっている様だ。


スイも周りの人々と同様に硬直していた。



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