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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
382/994

9-3-3.闇と実験



ネネが戻ってくるのを待つ間、ラルフは時計で時間を確認する。


PM0:50


(もうこんな時間か。一回校長の所にでも行って、調査の報告でもするか。)


「ご主人様お待たせしましたー!」


ネネが入ってくる。その手に《抱えられている》パフェ。


「ちょっ…!おい、でかすぎるだろ!」


「あら、これ位食べて頂かないと困ります!ネネの愛情の大きさですよ!?」


(それだけ危険性の高い情報ってか。その癖、名前は無償で出してくんだもんな。…やられたわ。流石は情報通ってとこか。)


ラルフは目の前に置かれた巨大パフェをスプーンで掬い始める。


「さっきの続きですが、緑の短髪。身長は170cm。体格は筋肉がしっかりとついている感じ。耳に付けてるピアスが特徴的。ヤンキーボクサーな感じです。」


「…良くそこ迄調べ上げてるな。」


ラルフは情報の細かさに舌を巻く。


「私はただのメイドですっ。ご主人様に喜んでもらえるのが至上の幸せなんですぅ。」


「はいはい。」


流石のラルフもネネの切り替えの早さに、少し置いていかれ気味だ。


(にしても、昨日の夜に会ったあいつと外見がほぼ一致してるな。そこを中心に探りを入れるか?)


「そんで、クリスタルが盗みの目的って考える理由はなんだ?」


「んー、サービスですよぉ?」


何故かラルフにすり寄るネネ。

耳元で囁く。


「盗難が連続で起きる前に、街魔通りでは何度かクリスタルの盗難が起きています。魔力蓄積機が暴走した事件の前後からですね。そこから、クリスタルの盗難が多発しています。最近、警察が本格的に動き始めたのを境に、その他の物品の盗難も増えました。という事は…。」


ラルフの耳元で囁く様に話すので、吐息がいちいち耳にかかり、いちいちゾクゾクしながら話を聞いていた。

ネネの口が耳から離れた所で、ラルフは強張っていた身体を弛緩させる。


「なるほどな。色々と繋がってきたな。」


一先ず、知りたい情報をある程度入手する事が出来たラルフは、純粋な客としてメイド喫茶を楽しむ事にする。


余談だが、店の名前は「あなたと私の萌え心」。


「これ全部食べたら、膝枕してもらうぞ?」


「あら、ご主人様ったらぁ。甘えん坊なんですねっ!」


街立魔法学院の学生が見ていたら、完全にドン引きされそうな状況を楽しみ始めたラルフ。


PM0:59


ほんの少しの間の、甘い時間が始まる。



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