2-7-23.授業 基礎魔法
龍人の言葉に火乃花は怪訝な顔をした。実際問題として、龍人は何をしていたという訳でもなく、ただ矢を浮かべてリングを見ていただけだ。それで成功すると言われても信じ難いと思うのは当然の反応だろう。
「龍人君。出来たって言ってるけど、どうするのよ?リングの配置をずっと見てたみたいだけど、それでリングの配置を覚えたから、記憶通りに2本の矢を操るって事なのかしら?覚えたからって同時に2つの矢を操作出来るって理屈にはならないわよ?」
「ん~そうなんだけどね。ま、見ててよ。」
火乃花の指摘に曖昧な反応を返した龍人かリングの方へ手を差し伸べる動きをすると、それに合わせて2本の矢が動き出した。特段早い動きではないが、そこまで遅い動きでもない。矢はそのまま進み、1つ目のリングを通過する。2つ目は1本目は上に動かし、2本目は下に動かす。矢はスムーズに動いてリングを通過していく。3つ目は1本目を隣の2つ目のリングと同じ位置まで下げ、2本目は少し上に動かす。矢によって動かす幅が変わる難関の1つであるが、ここも難なく通過する。
その後も2本の矢は危なげなく進み、最後のリングを通過した。
「おし!やっぱし読み通りだわ。いいね自分。」
いきなりのクリアに火乃花も遼も驚きを隠す事が出来ない。周りの生徒達も龍人を見て驚いている。しかも、自分達が苦戦していた内容であるが為に驚きは通常よりも大きい。
言葉が出ない火乃花の横で、妙に納得した雰囲気で遼が喋り出した。
「もしかして…リングの配置を覚えるってこと?…覚えるってよりも、配置通り設定する?なるほど。なるほどね!龍人、良く気がついたね。これなら、確かに可能だよ!」
「お、遼も気付いたか。結構時間かかっちまったけど、成功して良かったわ。」
「ちょっと二人とも!納得してないで、教えてよ!全然分からないわ。」
「ほぉー。1番最初にクリアしたのは龍人か。俺の予想だと火乃花辺りかなと思っていたんだが、まぁこういう事もあるか。」
気付けばラルフが火乃花の後ろに立っていた。