2-7-22.授業 基礎魔法
龍人は火乃花の方を向くと、近寄って手を握りしめる。何かに気付いた喜びの余りの行動だろう。手を握られた火乃花はキョトンとした顔で龍人を見る事しか出来ない。
「それだよ!なるほどねぇ。だからあんなに同時に操作出来てたんだよ。この方法なら同時に計算してもいけるし、計算と設定を保つことが出来れば順番に計算するのも可能かも。ふむふむ。いいねぇ。」
1人でブツブツ言った龍人は火乃花の手を離すと練習場所まで歩いて行き、矢を2つ手に持った。
龍人が魔力を矢へ通わすと矢が浮き上がる。2つの矢は龍人の目線まで浮き上がるとその場に停滞した。そのまま矢は動かずに静止。龍人も沈黙を保ったまま前方に連なるリングを見つめている。
5分程だろうか、動きを見せない龍人に痺れを切らした遼が声をかける。
「ねぇ龍人、矢を飛ばさないの?そのままじゃ魔力を無駄に消費するだけじゃない?」
魔力を無駄に消費するだけ。確かにごもっともなアドバイスではあるが、龍人はそれでも沈黙を保ったまま前方のリングを見つめ続けている。全く反応がないという事は、何かしらの魔力操作を行っているのだろうとは予想出来るが、何をしているのか分からない遼は困惑の表情を浮かべながら火乃花と顔を見合わせる。
その時だった、沈黙を続けていた龍人が急に声を上げた。
「よし!出来たぞ!1発で成功するかは微妙だけど、多分良い線いくと思う!」
龍人は火乃花と遼を見ると、見ていろと言わんばかりに笑顔を浮かべた。