9-2-24.獣
ドレッサーは座ったまま、プリプリとお尻を動かし始める。
「そればっかりは私にも分からないのよん。ただ、言えることが警察は既に地下組織が何かの実験をしていないかを調べてるわよん。」
「警察の情報まで手に入れてるなんて、本当にタダのオカマじゃないのね。」
火乃花が感心して出した言葉に、ドレッサーはプリプリとした動作を一層強める。
「他に知っている事があるとしたら、南区で昨晩、盗難事件が多発した事ねん。」
「それと通り魔事件事件が関係あるのですか?結びつける要因があるのでしょうか?」
ルーチェの鋭い突っ込み。
「それがねぇ、分からないわん。あるかも知れないし、無いかも知れないし。ただ、事実の1つとして知っておいて損は無いと思うわよん。真相って、思わぬ所から出てくるものだからねん。じゃ、そろそろアレいくわよん?」
「そうですわね。色々と貴重な情報をありがとうございました。」
ルーチェは軽く頭を下げると、ドレッサーを見て、小さく頷く。
それを見た瞬間に、火乃花の中に嫌な予感が渦巻き始めた。
「げっ。もしかして…じゃ、私は帰るわよ!」
勢いよく立ち上がった火乃花は、勢いよく座らされた。
目の前には、ドレッサー。火乃花を抑える両腕は力強く、ドレッサーが男であることを示している。それとは対象的にクネクネと前後に動く上半身と下半身。ヨダレを垂らしそうな口。獲物を捕まえた恍惚とした目。
これから待ち受ける悲劇をリアルに想像してしまった火乃花は…全身を硬直させた。
ルーチェを見るが、なぜか彼女は「頑張って」とでも言いたげな表情で力強く頷くのみだ。
段々と距離を詰めるオカマの顔。
久々にMagicShop男女男女から女性の叫び声…悲鳴?が響き渡ったのだった。




