9-2-18.獣
龍人が難しい顔をしながら、机に広げられた地図を見る。
「俺達2人でこの広範囲を警備ってのは…厳しくないですか?もっと人数を増やした方がいいと思うんですけど。」
「お前ならそう言うと思ったよ。ただな、犯人を捕まえたいんだよ。警備の人間を増やしすぎると、あからさまに警戒してますってなるからな。そうなると、警備の人間が多い間は盗むのを自粛するだろ。そんで警備が薄くなると盗み再開だろうな。それじゃあ根本的な解決にはならんだろ。」
「…確かに。」
遼は唸ってしまう。
シェフズの言うことは間違っていないのだが、警備をどうするのかは解決していないのだ。
シェフズは龍人と遼が冴えない顔をしているのを見て、その心意を汲んだのだろう、続けて話し出す。
「そこでだ、昼間は普通に遊ぶ感じで街魔通りにいて欲しい。怪しい人物を見かけたら、そいつを追いかけて見張ってくれ。でだ、夜になったら魔法の台所に泊まってもらう。他の店よりも戸締りを緩くして、クリスタルの保管場所を2Fにしてるって仕事中に何度か話そうと思う。そうやって、犯人をうちの店の2Fに誘導して捕まえるのが目的だ。」
「で、忍び込んで来た犯人を俺と遼が捕まえる。って事か。」
「そんな簡単にいくかな?」
異論を唱えるのは遼だ。
龍人とシェフズの視線を受け、遼が話し出す。
「この街魔通り沿いの店で盗難を繰り返していて、捕まってないって事は、かなりのやり手だと思うんだ。そんな犯人が誘いに乗るとは思えないな。」
「その点に関しては大丈夫だ。」
シェフズがニヤリと笑いながら腕を組む。




