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9-2-10.獣
ルーチェはふんふん頷く。
「つまり、そういう事なのですわね。高官が関わるとなると、かなりの極秘事項になりますわね。詳しくは聞きませんので、安心して下さいな。」
ルーチェの言葉に汗をかきながらも、ほっと息をつく青年。
「ルーチェ=ブラウニーさん、流石はあの方の娘さんですね。それでは、私はこれで失礼します。これ以上ここにいたら余計な事を話してしまいそうなので。」
青年は軽くお辞儀をすると、腕時計を見る。
「やべっ。」
っと、小さく漏らすと、来た道を走り戻って行った。
その背中を見送る火乃花とルーチェ。
「ルーチェ、あなた結構突っ込むのね。おっとりしたお嬢様なイメージが強かったけど。」
「あら?私は至って普通の平和主義ですわよ?」
とぼけるルーチェ。
「ではでは、まずは南区の魔具専門店を当たりましょう。」
「はいはい。」
こうして、火乃花とルーチェの調査員チームが結成され、行動を開始する。
一方…
遼は今迄で最大の敵達に囲まれていた。




