9-1-6.魔法協会ギルド
巨大な城の中にある小部屋から、お婆ちゃんの微笑みに見送られた龍人は地図を片手に黙々と歩いていた。
「小部屋から遠い部屋から順番に片付ける」
というプランを実行に移すため、1番遠い部屋に向かっているのだ。
(…遠すぎる!家ん中を30分歩くっておかしいだろ!)
実際に30分歩いているという事は、既に2kmは歩いている事になる。
(空間拡張の魔法なんだろうけど、なんでこんなに巨大になってんだ?…あ、あの部屋かな?)
ようやく目的の部屋に辿り着く。
ドアノブに手をかけ、捻ろうとした龍人はピタリと動きを止めた。
(部屋の中も拡張とか…無いよな?)
そうなった場合、龍人を待ち受けるのは長い長い地獄だ。今の時点で地獄なのも間違いないが。
ともあれ、龍人は少し悩んでから一気にドアを開けた。
「…良かった。」
思わず安堵の声が漏れる。部屋の大きさは通常サイズだった。拡張がされてないだけで、それなりの広さはあるのだが。
龍人は腕まくりをすると、物置から持って来た掃除用具を魔法陣の中から取り出す。
「よし!目標は1週間!一気に終わらせてやる!」
龍人は気合いを入れて大声を出すと、人生初の全力掃除を開始した。




