9-1-4.魔法協会ギルド
龍人が受諾した依頼内容は、家の掃除だった。
(もうちっとしっかり見て選べば良かったなぁ。なんで他人の家を掃除しなきゃいけないんだか。)
勢いで選んだ為、内容に関してはかなり不服だが、1度受けた依頼は正当な理由がない限り断る事ができない。
遼と別れ、渡された地図を頼りに依頼人の家を探す。
30分後、龍人は目的の家へと辿り着いた。
「でけぇ…。」
目の前にそびえ立つは、家…ではなく「城」だった。
「これが家か?テーマパークにある城だろ。」
龍人は門の前に立つが、どうやって中に入るのかが分からない。
キョロキョロと門の周りを見渡す。
「あ。あれか?」
よく見ると、門の横に小さなボタンの様なものが付いていた。
そのボタンを押そうとし、龍人は一瞬躊躇する。が、すぐに思い直しボタンを押した。
(あれ?なんも反応が無いな。)
押しても音もせず、門が開く事も無かった。何回かボタンを連打してみるも、特に変化は無い。
(まさかの初依頼で、初失敗か?)
なんて事を考えていると、門がゆっくりと開きだす。巨大な門の割に静かである。
門が開き切っても中からは誰も出てこない。入って良いのか悩むが、依頼を達成するには入らない事には始まらない。
(まさかの時には、どうにかしよう。)
と、龍人は中途半端な覚悟を決めて門の中へ入って行った。




