2-7-17.授業 基礎魔法
龍人は矢を持つと魔力を通し、ついさっきラルフがやった事を思い出しながら、どうすればいいのかを考察する。
(魔力で矢を操作して当てるって事だよな。そーすると、別に矢を投げなくても良いのか。いや…どっちにしろあんま変わらないか?)
やらないと分からないという結論に至った龍人は、ラルフの真似をしてオーバースローで矢を投げた。
魔力で操作をしているので、矢は重力に引っ張られて落ちる事はなく真っ直ぐ進んで行く。
案外順調かと思われたのだが、矢が20m程進んだ所で魔力の制御が一気に難しくなった。
(おいおいマジか。こりゃあ難しいな。)
更に5m程進む。既に最初に投げた時の慣性は働いておらず、魔力で前に進めるしかない。そして、1つめの授業内容とは比べ物にならない程魔力の消費が激しかった。もう1m進むと、魔力を矢に繋げる事だけで精一杯になり、矢の動きが止まってしまう。矢は空中に停滞し、魔力を繋げておくのが難しくなって地面に落ちた。
「これ、ヤバくない?」
想像以上に難しかった為、ポカンとしてしまった龍人は遼を見つけると声を掛けた。その遼は既に力尽きたのか、大の字で空を仰いでいる。
「ヤバイよね。矢がなくてもあの的まで魔力を伸ばせないもん。50mは長いよね。」
そう…50mは遠い。今まで魔力だけを伸ばす事はあっても、それは日常生活でちょいちょい使う程度だ。普段の生活には無い距離である。
「ラルフ先生って凄いんだね。こりゃあキツイわ。」
その後何度か挑戦する龍人だったが、回数を重ねる毎に飛距離が短くなっていくだけだった。
そうしている内に、その日の授業は終了してしまう。