8-1-8.夏休み、火乃花の場合
病院を出た火乃花とレイラは、ガールズトークに花を咲かせていた。
「で、レイラ。龍人君とはどうなのよ?」
「どうなんだろ。前よりは仲良く出来てるかなとは思うんだけど。」
「中々に良い雰囲気だと思うわよ?さっきもレイラだけ遊びに誘ってたし。咄嗟に出た言葉かもしれないけど、そーゆーのが本心だから、龍人君を振り向かせれる可能性はあると思うわ。」
火乃花の分析にレイラは感心する。
「やっぱり火乃花さんって凄いよね。いろんな事に気づくし。私も火乃花さんみたいになりたいなぁ。」
「何言ってるのよ。人それぞれの個性があるからいいんじゃない。レイラは今のままでいなさいよ?」
「そうかなぁ?」
「で、話は戻るけど、龍人君と手位は繋いだわよね?」
龍人に関する話が延々と続く。話のペースは常に火乃花が握り続けている。
あれこれと話している内に、2人は街立魔法学園の校門前まで来ていた。
「あ、じゃあ私は教師校舎で書類を提出するね。」
「えぇ。私は1年生校舎の特訓室を予約してるから、そこに行くわ。」
「うん。火乃花さん、またね。」
レイラはニッコリと微笑むと小さく手を振る。
その様子が如何にも。という感じに可愛らしい。
(そりゃ、龍人君が惚れるわけね。ってまぁ、まだ決まったわけじゃないっか。)
なんて呑気に考えながら、火乃花も手を振る。
「じゃあ、また今度ね。」
レイラは教師校舎への転送魔法陣に乗り、移動して行った。
火乃花もその様子を見送ると、1年生校舎の上位クラスに続く転送魔法陣の上に乗り、移動する。
転移の光に包まれ、視界が白くなる。
少しすると、視界が段々と色付き始め、見慣れた風景が目に飛び込んで来た。
いつも授業を受けている教室のドアが目の前にある。
今日の予定は教室ではなく特訓室なので、教室には入らずに廊下を歩き始めた。




