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Colony  作者: Scherz
第三章 魔法街 光の裏側
304/994

8-1-7.夏休み、火乃花の場合



龍人と火乃花の会話が落ち着いた所で、コンコンと病室のドアがノックされる。


「ん?だれだろ。どうぞー。」


龍人が返事をすると、少し控えめにドアが開かれる。


「あの、失礼します。龍人君?」


その声は、最近龍人が恋心を抱き始めた人物だった。


「レイラか!来てくれたんだな。サンキュー!」


龍人の声が少し弾んだものとなる。本人はほとんど意識をしていないのだが。


レイラは、静かにドアを閉めるとベッドに近づいて来た。


「えっと、これ良かったら!」


レイラが両手で差し出した籠には、大量の果物が積まれていた。

その量に圧倒される龍人と火乃花。


「あ、ありがとうレイラ。」


「レイラ…ちょっと多すぎない?」


火乃花の突っ込みに、レイラは照れ笑いの様な表情を浮かべる。


「お見舞いに行くって果物屋さんで言ったら、沢山買わされちゃって。やっぱ…多すぎたよね?」


レイラは話しながら悲しそうな表情に変わっていく。

その変化に、龍人が焦る。


「いや!嬉しいよ!レイラありがと!レイラも座んなよ!」


「あ、それがね、これから学院に行かなきゃなんだ。私、1人暮らしで奨学金を貰ってるから、その後期分の手続きをしなきゃいけなくて。」


「そっか…。俺、明日退院だからさ、夏休み中に遊ぼうな。果物のお礼もしなきゃだし。」


レイラは龍人の誘いに顔を輝かせる。


「うん!ありがとね。じゃ、また来るね!」


「あ、私も一緒に学院に行くわ。」


「あれ?火乃花も用事あんのか?」


「えぇ。特訓よ。」


龍人は大袈裟に感心する。


「はぁあ。流石は火乃花だな。うっかりしてると置いてかれそうだわ。…って、待て!」


龍人がいきなり火乃花とレイラを止める。


2人は、はてなマークを浮かべながら龍人を見た。


「俺、結局暇暇じゃん!」


「それはしょうがないわね。レイラ、行くわよ。」


火乃花はレイラの腕を掴むと、ズイズイと歩き始めた。

レイラは龍人に手を振りながら、火乃花に引っ張られて病室の外に消えて行った。


バタンと閉まるドア。


シン


とした病室で龍人の独り言。


「暇だわ。」



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