2-7-15.授業 基礎魔法
その後、龍人は無事にゴールラインまで辿り着くことが出来た。途中でバルクがまた何か叫んでいたが、魔力の維持に全力で集中していたのでサッパリ内容は覚えていない。そのバルクは後方で他の生徒と何かを言い合っている。
単純な作業だったが、予想以上に魔力を消費した事で額に汗が薄っすらと滲んでいた。地味に疲れたと思いながらひと息ついている龍人の下にラルフが近寄ってきた。
「よぉ龍人。大分苦戦してたみたいだけど、基礎魔法の大切さは分かったか?」
「はい。思ったよりも繊細なコントロールが必要ですね。こーゆーのが余裕で出来るようにならないといけないって事ですよね?」
龍人の言葉を受けてラルフはニヤリと笑った。
「ま、そういう事だ。全ての魔法は基礎が出来てこそだ。世の中には基礎なんか出来なくても、ある程度の威力を発揮できる魔法使いも存在すっけどな。ま、そーゆー奴は強いは強いんだが、基礎が出来てないからめっちゃ強くはなれないわけだ。言い換えれば、基礎が出来ればめっちゃ強くなるって事だな。お前の魔法もそうだからな?」
「ん?先生、俺の魔法の事知ってるんですか?」
「あぁモチロンだ。なんたって担任だからな。それに、その内皆にもバレるだろ。この世界、特殊な能力を持った奴は沢山いるから、そんなに気にする事は無いぞ。ま、お前の場合はすこしややこしいが。」
「ややこしい?単に発動が早い魔法陣ってなだけですよね?」
「…あぁなるほど。ま、今はそれで大丈夫だ!じゃあ次の授業へ移るぞ!」
そう言うとラルフは次の授業を行っている場所へと歩き出す。ラルフの言葉に何かしらの含みを感じた龍人は、釈然としない思いを抱きながらもラルフの後を追って歩き出した。




